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ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督、構想に15年を費やしたカンヌ最高賞「雪の轍」を語る

2015年6月26日 16:20

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ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督

[映画.com ニュース] 第67回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した「雪の轍(わだち)」が公開する。これまでカンヌのコンペティション部門で、グランプリ2回と監督賞を受賞しているトルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督初の日本公開作品。チェーホフの著作をモチーフとし、それぞれ立場の違う登場人物たちの濃密な人生模様が3時間16分の圧倒的な映像美によって紡がれる。ジェイラン監督が作品について語った。

世界遺産カッパドキアのホテルのオーナーで元舞台俳優の主人公アイドゥンと若く美しい妻、そして妹との愛憎、主人公への家賃を滞納する聖職者の一家との不和を軸に物語が展開する。チェーホフの3つの短編からインスピレーションを受け、15年ほど企画を温めていた。「観客の想像をあまり方向づけてしまうといけないので、どの作品かは言いませんが、チェーホフの作品を良く知っている人なら見つけるのは難しくはないでしょう」と語る。

主人公のアイドゥンは、元舞台俳優だったが、スターにはなれず、父の残したホテルを経営し、地元の新聞にエッセイの連載を持ちながら裕福に暮らすインテリだ。そんなアイドゥンに対し、口うるさい出戻りの妹やアイドゥンの資産を当てに慈善活動に生きがいを見出す若妻ら女性たちの対応は容赦がない。「彼女たちは男たちよりもっと具体的で、幻想を抱くことがなく、見せかけの世界に生きていないように見えます。こうした強い女性たちを書いた時、私が思い出していたのは自分の少年時代です。私の家族はおばとその二人の娘と同居していて、彼女たちがそういう人だったのです。男たちは家におらず、出たり入ったり。一方彼女たちはズケズケとものを言っていました。それが発想源になっています」と実体験をキャラクターづくりに交えた。

人間の心の暗部を表現する俳優たちの演出には、入念なリハーサルを重ねた。「彼らを自由にさせたとは言えません。私は、シナリオに書いたとおりのセリフを言ってもらいたかったのです。けれども一旦撮影が終わると、何か他にないだろうかと思い、即興で演技してもらいました。しかし、もっと自然さを出すために、細かいところで付け加えたところはあるにしても、シナリオから遠く離れた所はないと言えます。自分が望むものを見出すために、セットの中でカメラを回してのリハーサルを何度も重ねました。その後で、もっと良くするためにできることがあるかどうかを考えました」

舞台となったカッパドキアについてはこう語る。「初めはカッパドキアで撮るつもりはありませんでした。この地方は、この映画にはあまりにも美し過ぎたからです。でも、登場人物を配置できて、世の中から遠く離れた別世界のようなホテルを他に見つけられなかった。それに、このホテルには多少の旅行客も必要でした。カッパドキアだと冬でも旅行客がいますから。ロケハンでこの場所を見つけ、ここに登場人物を置きたいと思い、その結果、物語が進化したのです。背景のおかげで物語が変化したわけです」

とりわけ、カッパドキアの冬景色は物語のテーマを象徴するような光景だ。「雪があったおかげで、モノクロのようになりました。アイドゥンが去る時に雪がこの地方を覆うという事実は、私にとって非常に重要です。ある関係に終止符を打つ時に、世界は違って見え、風景は性質を変える。ここで風景は白くなるのです」

雪の轍」は6月27日から角川シネマ有楽町および新宿武蔵野館ほか全国順次公開。

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