鈴木京香、慈愛に満ちた表情で「おかあさんの木」読み聞かせキャンペーン完遂!
2015年5月22日 05:00
[映画.com ニュース] 女優の鈴木京香が5月21日、主演映画「おかあさんの木」の原作本の読み聞かせを、広島県の広島市立本川小学校で行った。「70年前、家族と離れてひとり戦場へ旅立った子どもがいたこと、子どもを断腸の思いで見送り、帰りを待ち続けたお母さんがいたことを、(現代の)子どもたちに知ってほしい」と思った鈴木の発案で始まった全国読み聞かせキャンペーン。14日の長野を皮切りに、名古屋(18日)、大阪(19日)、鹿児島(20日)とめぐり、この日の広島で完遂した。
鈴木が読み聞かせを行った本川小学校は、漫画「はだしのゲン」に登場する“本川国民学校”のモデルになったことで知られ、爆心地にある。原爆で焼け残った旧校舎の一部が現在、平和資料館として活用されている。読み聞かせに参加したのは、同校に通う5年生の児童67人。穏やかな笑みを浮かべて教室に入った鈴木は、児童たちを時おり見つめながら、しっとりとした声で大川悦生氏の「おかあさんの木」を約17分間かけて読み上げた。
じっと聞き入った児童たちは、質疑応答に移ると積極的に手を上げた。「今年で被爆70年になりますが、鈴木さんは平和についてどのように思われていますか?」という質問を受けた鈴木は、「私たちは戦後70年というけど、皆さんは被爆70年というんですね」と言葉に詰まった。それでも、「この地の皆さんは大変な思いをされてきたんですね。一生懸命生きた方々のためにも、その時の記憶を後世に伝えていく必要があると思います」と真摯に語った。
その後、鈴木は同校の児童代表4人とともに平和記念公園を訪れ、読み聞かせキャンペーンで訪れた小学校5校の生徒たちから託された千羽鶴(各校200羽)を奉納。広島を初めて訪れたという鈴木は、慈愛に満ちた表情で「この小学校からは原爆ドームが見えるんですね。皆さんは、いつも戦争の悲惨さを考えているんですね」と児童たちに語りかけた。一緒に公園で千羽鶴を奉納した三宅晴ちゃんは、「とても丁寧な読み方で、すごく聞きやすかったです」とほほ笑んでいた。
キャンペーンを完遂した鈴木は、磯村一路監督、東映の須藤泰司企画製作部長とともに市内のホテルで会見した。鈴木は、報道陣には公開されなかったが、同校にある平和資料館を児童たちに案内してもらったと報告。「子どもたちが一生懸命に準備してくれていて、本当にかわいいんです。うんと下の子どもたちから説明を受けるのは、今までにない経験でしたし、感動しました。子どもたちの仕草を見ていると、平和の大切さという、大人が伝えたい思いをきちんと後世に伝えていってくれるんじゃないかと感じ、嬉しく思いました」と感無量の面持ちを浮かべた。
同作は、戦争により懸命に育て上げた7人の息子を次々と兵隊にとられ、そのたびに桐の木を植え無事を願う母・田村ミツの姿から、いつの時代も決して変わることのない母と子の情愛や、人と人とのつながりを描く。鈴木のほか、三浦貴大、志田未来、田辺誠一、奈良岡朋子らが出演している。
「おかあさんの木」は、6月6日から全国で公開。