「マッドマックス 怒りのデス・ロード」ジョージ・ミラー監督が製作秘話を説き明かす
2015年4月28日 14:50
[映画.com ニュース]世紀末をまたぎ、30年ぶりによみがえる伝説的アクションシリーズの最新作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」が、6月20日に公開される。いまだ謎多き今作だが、シリーズ創始者にして本作でもメガホンをとった70歳のジョージ・ミラー監督がインタビューに応じ、本作の一端を明かした。
トム・ハーディ演じる“新生”マックスが、女戦士フュリオサ(シャーリーズ・セロン)らと力を合わせ、砂漠の支配者イモータン・ジョー(ヒュー・キース・バーン)の軍団と戦う。これが現時点で判明している今作のストーリーだ。前シリーズでは石油が物語の鍵となったが、今作ではさらにそこに「水」をめぐる争いが加わる様子。ミラー監督は「劇中の世界を創造するときは、やはり現実の世界で見たもの、歴史で見聞きしたことが反映される」と語り、世界観ついて説明する。
「観客がこの映画を見た翌週の水曜日に世界の終えんがやってくる――そういう前提の上にこの物語は成り立っている。ニュースで見聞きする最悪の事態、いや想像すらできないような事態が(公開翌週の)水曜日に同時多発的に起こる。その前提で劇中のセリフや車のデザインや衣装や武器をデザインしているんだ」。
さらに具体的なストーリー設定について、「世界終えんの45年後から始まる。オーストラリアなど大陸の沿岸都市は壊滅し、ギャングたちがバッタのように大地を駆けめぐるんだ。新しい経済システムも出来上がって、世界はイモータン・ジョーが支配する新しい秩序の下で管理されている。彼はあらゆる資源を牛耳っており、水も地中からポンプで汲み上げ、岩の要塞で保管している。ガソリンも“ガス・タウン”と名付けた要塞で潤沢に保管しており、“バレット・ファーム”という別の要塞では武器や弾丸などを製造し、完全武装しているので、世界を牛耳ることができるんだ。つまり、時代は中世に逆行しており、そのヒエラルキーの頂点にイモータン・ジョーが君臨し、人々は暗黒の時代を迎えているという設定だ。そういうストーリーだから、寓話的・神話的な色を帯びてくる。また必然的に作り手の歴史観、人間の行動科学、現代世界に対する解釈ないしは人類がこの先どこへ向かっていくのかに関する解釈が入ってくる」と語る。
現実の歴史に影響を受けたのは物語だけではない。当初、2001年に旧シリーズ主演のメル・ギブソンが続投する形で製作が決まっていたが、「撮影まであと11週という時に9・11が起きたんだ」。これに伴う豪ドル安による予算の増加などで製作が中止になり、その後、再度始動するも「今度はメル・ギブソンが年齢的に難しくなってきており、再びいいめぐり合わせを待つしかなかった。最終的にトムやシャーリーズらをキャスティングすることになったんだ。ちなみに『マッドマックス』1作目の撮影をしていた頃、トムはまだ生後6カ月の赤ん坊だったというから驚きだね」とめぐり合わせの妙を口にする。
その後も、砂漠シーンの撮影予定地オーストラリアが予期せぬ降雨に見舞われ、アフリカ大陸のナミビアに移るなどのトラブルに直面しながら、128日間の撮影を敢行。「しばらくはアフリカの砂漠での撮影はやらないでおきたい(笑)」と言わしめるほど過酷なものだったが、作品に関しては「見たらこの世界やキャラクターたちが脳裏に焼きつくことは確かだ。夢にまで入り込んできて、また見たくなるにちがいない。変な中毒を起こすよ。健全ではないかもしれないけど、抵抗できないと思うよ!」と自信を口にした。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。