仲代達矢、岡本喜八監督にささぐ「ゆずり葉の頃」で八千草薫にぞっこん「常に初々しい」
2015年4月16日 15:45
[映画.com ニュース]故岡本喜八監督夫人で、二人三脚でプロデューサーを務めてきた岡本みね子さんが、旧姓の「中みね子」名義で脚本を執筆し、初めて監督に挑戦した「ゆずり葉の頃」の完成報告会見が4月16日、都内で行われた。
主演の八千草薫をはじめ、仲代達矢、風間トオル、音楽の山下洋輔、劇中画を手掛けた宮廻正明が出席。みね子監督は、「七回忌の後寂しくなって、ゼロに戻った方がいいと思い1から本を書きました。谷口(千吉)師匠、喜八監督、天上からたくさんの方たちが見守ってくれて、もうダメかなと思った時もありましたが、いろんな人が助けてくれた。ただひたすら感謝です。愛情を持って見ていただきたい」と声を詰まらせた。
数年前から出演を打診されていた八千草は、「大きな会社と違って資金も少なく、本当に映画になるのか不安もありましたが、とうとうできて感無量です。とても合った役柄をつくっていただき、とてもありがたく思います」としみじみ。喜八組の常連だった仲代も、「若い頃から大変お世話になり、長く役者をやってこられたのは喜八監督、みね子さんのおかげ。素晴らしい映画ができた。喜八監督にささげたい」と万感の表情で話した。
劇中には八千草と仲代がダンスを踊る印象的なシーンがあり、みね子監督は「私が撮れる最高の大人のラブシーン。満足しています」と笑顔。盲目という設定の仲代も、「私もラブシーンだと思っている。八千草さんとは共演も多いが、常に初々しい。この世界には年齢に関わらず初々しくない女優はいっぱいいるが、この映画での八千草さんは素晴らしい。90%は八千草さんに支えていただいた」とぞっこんの様子だ。
絶賛のオンパレードに八千草は「私は何て言ったらいいんでしょうか」と照れることしきり。それでも、「仲代さんとご一緒だと安心して、信頼してついていけば良かった。感動的でしたね。でも、仲代さんは本当は見えていらっしゃるから、不思議な感覚でした」と初々しい笑顔をのぞかせていた。
「ゆずり葉の頃」は、ヒロインの市子が少女の頃に淡い思いを寄せ今では高名な画家になった人の個展を見るため旅立った軽井沢で、さまざまな人との出会いによって人生を見つめ直していく姿を描く。5月23日から東京・神保町の岩波ホールほかで全国順次公開される。