「二重生活」のロウ・イエ監督と対談した栗原類「人間の闇を描いた素晴らしい作品」
2015年1月26日 19:30
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[映画.com ニュース] 第65回カンヌ映画祭ある視点部門のオープニング作品として上映されて話題を呼んだ「二重生活」の公開記念対談イベントが1月26日、東京・渋谷のアップリンクで行われ、来日したロウ・イエ監督と、モデルでタレントの栗原類が出席した。
本作は、1989年6月の天安門事件を学生の視点から描いた「天安門、恋人たち」(06)で中国当局から5年間の映画製作禁止処分を受けたロウ監督が、禁止令が解かれて初めて手掛けた作品。共同経営する会社が順調で、何不自由ない生活を送る夫婦と、いつかは本妻になりたいと願う夫の愛人。3人の男女と、ある事件で命を落とした女子大生、事件を追う刑事らの思惑が交錯するさまを描く。
俳優としても活動し、無類の映画好きとして知られる栗原は「映画を見ていて、すごく人間の闇と欲望を感じた」という。そして、「登場人物たちがとる行動はどれも、自分の理想のために他人を犠牲にするというもの。そのあたりから人間らしい心の闇が伝わってくる素晴らしい映画だと思いました」と絶賛した。
ロウ監督は、今作を撮ろうと思ったきっかけを「現代の中国の日常を描きたいと思いました。小説など原作のあるものではなくてオリジナルの物語を撮りたいと考えていたときに、本作に出てくるような人々が登場するブログをいくつか見つけ、その中のひとつを基にしながらストーリーを作っていきました」と明かした。
栗原が「カメラの方を向いているような登場人物たちの目線や、音楽をほとんどを使わずに周囲の雑音などで状況を表現しているあたりが、映画の世界をよりリアルなものにしている」と映画通らしく鋭く指摘すると、ロウ監督は「ドキュメンタリータッチで人物を描くことによってそれぞれの人物が置かれているリアルな境遇を表現したいと思いました」と説明。さらに、「リアルさを追求するために、私は俳優たちに“演じるのではなくて、その人物になりきる”ことを求めます。そのような私の撮り方に俳優たちは協力的で、非常に上手くやってくれました」と語った。
「現在の中国はあらゆることがものすごいスピードで発展している。そのようにめまぐるしく変化する社会は人々を疲弊させ、人と人との関係性にも大きな影響を与えている」と話すロウ監督。その発言を受け、栗原が「監督は映画の俳優やスタッフとの関係性をどのように捉えていますか」と質問すると、「映画製作の中で監督の占める位置は大きいので、俳優たちとのコミュニケーションはとても重要です。私は自分の意見を押し付けるのではなく『これは僕個人の意見です。参考にしてください』と伝えるようにしています」と撮影現場における自身の考えを明かした。
「二重生活」は、現在公開中の渋谷アップリンク、新宿K'sシネマのほか、全国で順次公開。
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