高橋泉、“体”を使った対話に挑んだ「ダリー・マルサン」で新境地
2014年11月27日 14:10

[映画.com ニュース] 高橋泉率いる映像ユニット「群青いろ」の最新作「ダリー・マルサン」が11月26日、東京・有楽町朝日ホールで開催中の第15回東京フィルメックスのコンペティション部門で上映され、高橋監督をはじめ、主演の廣末哲万と大下美歩、共演の松本高士、並木愛枝が舞台挨拶に立った。
失そうしたペットを探す探偵のろう者ダリー(大下)と、ある事件をきっかけに心を閉ざした男・善川(廣末)の交流を描いた本作。近年は脚本家としての活動で注目を集めている高橋監督だが、コンスタントに本作のようなインディーズ映画を製作しており、「出口の見えない状況でみんなでやっている。こんな日を迎えられてうれしい」と感慨深けに挨拶した。
ろう者の主人公ダリー役を熱演した大下は、「じっくりコトコト骨の髄(ずい)からうまみがにじみ出たような映画。言葉の音を越えた“声”を聞いていってください」と胸を張った。廣末は、「フィルメックスはいつも新しい喜びと怖さを与えてくれる場所。見終わった後に、この映画が皆さんの日常の先に少しでもつながっていればうれしい」と語った。
上映後は、高橋監督によるティーチインも行われた。ろう者を主人公に据えた理由について聞かれると、「これまでにフィルメックスで3本上映してもらってきたけれど、基本的に人と人の対話しか描いてこなかった。3本目に来て、“体”を使って対話をしたいと思った。ただ生々しいだけじゃ見てくれる人も飽きてしまうと思うので、次に進もうと思った」と心境の変化を語り、「村上春樹の小説が好きだったので、その世界観だけ借りたつもり」と影響を明かした。
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