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「メナムの残照」監督&女優、原作の名作小説が愛され続ける理由を説明

2014年10月30日 17:05

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キッティコーン・リアウシリクン監督、オラネート・D・カベレス
キッティコーン・リアウシリクン監督、オラネート・D・カベレス

[映画.com ニュース] タイ人なら誰もが知っているという名作小説を映画化した「メナムの残照」(2013年版)が、第27回東京国際映画祭のCROSSCUT ASIA部門に選出された。第2次世界大戦下、駐タイ日本海軍少尉・小堀とタイ女性アンスマリンの出会いから、その悲しい運命を描く悲恋物語が映画化されるのは、これで4度目。監督のキッティコーン・リアウシリクン、今作でスクリーンデビューしたアンスマリン役オラネート・D・カベレスが、なぜこれほどまでに愛され続けるストーリーなのかを語った。(取材・構成/よしひろまさみち)

――主人公の故郷にいらっしゃった感想をぜひ。
キッティコーン・リアウシリクン監督(以下、キッティコーン):10年以上前に「ゴールクラブ」という作品が東京国際映画祭のコンペティション部門に出品されて、仕事では一度来たことがあります。それ以外だと、実は観光でしょっちゅう来ているんですよ(笑)。その際もほとんど東京の滞在で、子どもを連れて遊びに来ています。
オラネート・D・カペレス(以下、オラネート):日本で映画祭に参加するのは初めてです。日本の気候はすごくいいですし、観客もとてもよかったです。夕方に仕事が終わったら監督に案内してもらいます。
――このエピソードは、日本ではあまり知られていないのですが、タイでは有名な話だとうかがいました。何度も映像化されているものをあえて今、また映画化したという理由を教えてください。
キッティコーン:映像化するタイミングのことはあまり気にしていませんでした。私が映画化しようと思ったのは、子供の頃に見た「メナムの残照」の映画に感動したのがきっかけです。いつか自分の準備が整ったら、撮ってみたいと思っていました。ちょうどナデート(ナデート・クギミヤ)という適役が見つかったので、いいタイミングがやってきたと思いました。
――オラネートさんはこの話を、何歳くらいのときに知りました?
オラネート:図書室で小説を読んだのが初めてです。9歳のときでした。
――この話が多くの人に支持されている理由はなんだと思いますか?
キッティコーン:3つくらい理由があります。ひとつは有名な小説家が書いた原作であること。ふたつめは、これまでにも何度も映画化やドラマ化されて、それがタイの人達に愛されてきたこと。3つめは、この話のなかに歴史の苦い思い出の描写がいくつかあることです。
――監督としてはその3つの理由のなかで、もっとも気にかけていることはなんでしょう。
キッティコーン:私はもともと第2次世界大戦時代の歴史に興味があったんです。だから、歴史を題材にした映画を撮ってみたいと思っていました。当時のことは映画のなかにも盛り込んでいますし、当時のことが理解できるような要素を取り入れたいと思いました。
――時代考証のリサーチはどうされましたか?
キッティコーン:実は、第2次世界大戦の頃のデータというのはタイでは非常に少ないの です。ですので、タイに住んでいる日本人から教えてもらいました。あの当時のタイ人は、あまりデータを持っておらず、自ずと残っているものもありませんでした。けれど調べたところによると、当時タイ人から好かれていた国はアメリカが50%、あとの半分がほぼ日本だったのです。当時の状況だと、アメリカは同盟国、日本は敵国なのになぜか人気は半々というデータがありました。とはいえ、一方で日本人を嫌いだったというデータもあるんですね。映画化に際して、そのあいまいなところを明らかにすることができて非常によかったと思います。
――キャスティングの経緯を教えてください。
オラネート:チェンマイにいたんですけど、地元の友人がオーディションがあるんだけど受けてみないかと言われて。受けたら受かっちゃったんです(笑)。オーディションのとき監督に、「私、楽器もできないし、オーディションも受けたことないんです」と言ったんですけど。
――そんな新人を大抜擢した理由はどこにありました?
キッティコーン:いい演技っていうのは、意識しないでやれる演技、無意識の演技だと思うんですね。意識すればするほど間違ってしまうので、構えずにできることが一番だと思います。
――いちばん難しかったシーンは?
オラネート:撮影は難しかったですけど、監督がひとつひとつ説明してくれてから演技に入れたのですごくやりやすかったです。
――主題歌を歌っているのは在タイの日本人サラリーマンの方と聞きましたが、なぜ彼になったんでしょう?
キッティコーン:仕事は分業にしていて、音楽についてはプロデューサーに任せていたんです。あるとき彼の曲を持ってきて、「これじゃない?」と言われたので、「ああ、そうだよ、これだよ」という気になりました(笑)。信頼しているプロデューサーなので推薦を受け入れたんですよ。

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