身の危険を感じながら大阪・西成の現実描いた太田監督「生きることを肯定したい」
2014年10月28日 13:25

[映画.com ニュース] 第27回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に選出された「解放区」が10月27日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで公式上映され、主演を兼ねた太田信吾監督、プロデューサーの伊達浩太朗氏、アソシエイトプロデューサーの川津彰信氏がティーチインに出席した。
日本最大の“ドヤ街”を有すると言われる大阪・西成区の飛田新地、あいりんセンター、三角公園などでロケを敢行し、そこに息づく人々の「生きる姿」を鋭く、そして生々しくえぐり出したフェイクドキュメンタリー作。地元住民やNPO、大阪市からの後援を受け製作されたが、思いの行き違いから太田監督が身の危険を感じるほどの障害が発生し、一時はお蔵入りの危機に瀕した問題作だ。
太田監督は、「西成の町の魅力、ありのままの姿が伝わればいい。何とかして『生きること』を肯定したい」と力強く訴える。西成区の現状について「覚せい剤をある種の必要悪として行政が認めている力学が働いている気がして、個人のもの(犯罪)とは言い切れない」と苦言を呈し、「そこ(薬物)に行きつかず生き抜く方法を探れたらいいと思った」と胸の内を明かした。
さらに、「西成の中でもいろいろな対立もあった。この街を良くしたい理念では共通しているのに、対立していたら元も子もない。そこに対して、ひとこと言いたかった」と吐露。多大なリスクを払ってまで手がけた理由を聞かれると「低所得者と言われても、過酷な状況でも生き生きとしている部分を何とかして描きたかった」と真摯な眼差(まなざ)しで語った。
本作は5月3日に西成の居酒屋・難波屋で完成披露試写会を行っており、太田監督は「地元の人に真っ先に見てほしいという思いだった」と説明。「正直、怒られるかなと怖い部分がありましたが、『西成に来た若者の必死さが描かれていた』というおっちゃんとか、40年ずっと“ドヤ街”で暮らしている人から『この映画は全然間違っていない』と言われたり、嬉しかった」と手応えを感じた様子だった。
第27回東京国際映画祭は、10月31日まで開催。
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