長江俊和監督、11年目を迎えた「放送禁止」新作で脱洗脳の恐怖を描く
2014年10月10日 15:00
[映画.com ニュース]深夜番組発の人気シリーズ「放送禁止」の約5年ぶりとなる新作「放送禁止 洗脳 邪悪なる鉄のイメージ」が、10月11日に東京・池袋シネマ・ロサで封切られる。テレビシリーズ、劇場版第1作「放送禁止 劇場版 密着68日復讐執行人」(2008)に続き、メガホンをとった長江俊和監督が、脱洗脳をテーマにした本作を語った。
「放送禁止」は、「お蔵入りになっていた映像を再編集して放送する」という設定で、人気を博したフェイクドキュメンタリーシリーズ。隣人トラブルやストーカーなど時代をとらえたテーマに、リアルな描写で切り込んできた。本作では、洗脳を受けた元主婦、心理セラピスト、ビデオジャーナリストを中心に物語が展開。インタビュー形式で行われたオーディションを通じて選ばれた役者陣が、「台本を渡さず箇条書きのシナリオを渡して、セリフを与えず、自分で考えた言葉で演技してもらっています」と自然な演技で現代の恐怖を体現する。
03年に放送されたテレビシリーズから始まり、今年で11年目を迎えた「放送禁止」。長江監督は「今回も、絶対にファンの方々の期待に添えられるような作品にしたい! という気持ちがありました。僕自身『放送禁止』は、劇場版も含めシリーズ全ての作品に全力投球で取り組んでいます」と自信をのぞかせ、本作を「テレビシリーズでつくっていた『放送禁止』の王道の手法と、考え方を極めて作った作品」と説明。劇映画を意識した1、2作目に対し、「テレビでやっていた『放送禁止』をまた復活させる、そしてそれが劇場でかかっているというようなノリにしようと考えました」と明かす。
同シリーズではさまざまな題材を取り上げているが、本作は心の闇につけこんだ洗脳を映し出す。「どの作品も、話題になっている出来事の中で『放送禁止』的にいろいろ展開できそうなネタを探してつくったものです。題材を選ぶときの1番のポイントは、テレビをつけたときに『こういうドキュメンタリーありそうだな』と思えるものかどうか」と語る。
シリーズを通して、「事実を積み重ねることが必ずしも真実に結びつくとは限らない」ことを訴えてきた長江監督は、「僕は情報報道系の番組にも携わることがあので、裏話のようなものを聞くことがあるんです。そういう話を聞くと、自分が見ているもの、目に見えているものの、すべてが真実かどうはわからない」と実体験を交え、「『放送禁止』は そういう怖さをテーマにしています。報道だけでなく、普遍的な人間のテーマなのかもしれませんが、“本当に自分が見ていることが正しかどうかは、自分の頭で判断するべきだ”というのがテーマになっていますね」
5年ぶりとなった劇場版は、「従来の『放送禁止』シリーズと同様に、“真相”が何なのか、考えながら見ていただける要素をちりばめました」とこれまでのファンへの訴求も忘れない。シリーズ初体験となる観客にも「『放送禁止』では、他の映画では体験できないような不思議な映像体験ができます」とアピールしている。さらに、次回作についても言及し「警察密着モノ『逮捕の瞬間100連発!』みたいなのを各局でよくやっていますが、あれの『放送禁止』版をやってみたい」と意欲をのぞかせる。「放送されなかった警察密着モノで、犯人逮捕の瞬間に何か意外な真相が秘められていた、みたいなのはドキドキして観ていられそうですね。あとは、純愛モノですね。純粋なラブストーリみたいなのは、今まであまりやったことなかったので、そういうのもありかなって思っています」
「放送禁止 洗脳 邪悪なる鉄のイメージ」は、10月11日から東京・池袋シネマ・ロサで公開。