別所哲也“劇画”生んだ伝説的作家・辰巳ヨシヒロ氏に最敬礼「TATSUMI」日本公開
2014年7月15日 13:24

[映画.com ニュース]“劇画”の生みの親である伝説的作家・辰巳ヨシヒロ氏の半生を描くシンガポール製作の長編アニメーション「TATSUMI マンガに革命を起こした男」の完成披露試写会が7月15日、都内で行われ、メガホンをとったエリック・クー監督、声優を務めた俳優の別所哲也が舞台挨拶に立った。
昭和30年代に大人が読めるマンガ“劇画”を生み出した辰巳氏が、自身の半生をつづった「劇画漂流」と、同氏による5つの短編作品から構成されたアニメーションで、2011年の完成から3年越しで、今年11月に日本公開が実現する。
すでに第64回カンヌ映画祭ある視点部門のオフィシャルセレクションに選出され、第84回アカデミー賞外国語映画賞にシンガポール代表作品としてエントリーされるなど、国際的な評価を得ていただけに「日本の皆さんにも“センセイ”の魔術的な作風にぜひ触れてほしい」(エリック・クー監督)、「劇画がもつ可能性、そしてこの作品に刻まれたガッツとエネルギーが、日本中に新しい熱狂を生んでくれれば」(別所)と感激しきりだ。
これまで実写映画の監督として、各国の映画祭で高く評価されてきたエリック・クー監督は、「忍耐強い性格ではないので、時間がかかるアニメは避けてきましたが、この作品に限っては実写では無理だとわかっていました。辰巳先生の作風をたたえることが目的だったからです」と述懐。アニメ化に際しては、「苦労したのは色ですね。例えば、50年代の大阪を走っていた電車の色など、辰巳先生からアドバイスをいただきました。線画のタッチを強調したシーンもあり、カンヌで字幕入れを依頼した際『フィルムに傷がついている』と連絡が入ったこともありました」と明かした。
ナレーションを含め1人6役に挑んだ別所は「俳優として大きな挑戦だったが、日本人として参加しないわけにはいかないと思った」といい、「シンガポールでの収録は2日間しかなく、監督が求めるものとこちらの考えを持ち寄りながら、キャラクターの声だけではなく、座り方や息づかいなど、体全体で役を作っていった」とアフレコの様子を語った。
また、現在79歳の辰巳氏について「ご高齢ではあるが、まだクリエイティビティの力は前進している。漫画を劇画に昇華させ、ジャンル、表現の幅、可能性をグッと広げる現在進行形の作家」と最敬礼だった。
「TATSUMI マンガに革命を起こした男」は11月から全国で公開。
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