ポール・W・S・アンダーソン監督、念願の大作「ポンペイ」に込めた「ハリウッド的ではない」結末
2014年6月6日 13:00

[映画.com ニュース] 人気シリーズ「バイオハザード」や「エイリアンVS.プレデター」で知られるヒットメイカーのポール・W・S・アンダーソン監督が、「子どもの頃から描きたかった」とこん身の思いで撮り上げた歴史アクション大作「ポンペイ」。西暦79年のベスビオ火山の噴火によって灰と化したローマ帝国の古代都市ポンペイを舞台とした映画だが、アンダーソン監督は「残された空洞から石膏(せっこう)像を作った人がいて、そこには威厳をもって噴火に相対している人、恐怖に身をかがめている人、愛する人を見つめがら最後を迎えた人もいた。そんな知られざる人々の物語に興味が沸いたんだ」と、本作に込めた情熱やこだわりを語ってくれた。
伊ナポリ近郊にあるポンペイの遺跡は、毎年多数の観光客が押し寄せる人気スポット。アンダーソン監督は、「ポンペイの街は一瞬で消滅してしまったけれど、乾燥した灰のおかげで非常に良好な状態のまま発掘されたんだ。壁画や落書きもそのまま残っているし、市場のお店にはメニューの絵も描かれていた。当時の人の生活ぶりがきっちりと残っていたから、衣装や美術を作る際にはとても助かったよ。街全体を俯瞰する空撮も、実際に撮った写真を元にしているんだ」と徹底的にリアリティを追求した。
壮絶なる噴火災害の裏では、ローマ人に一族を滅ぼされたグラディエーターのマイロと、街の有力者の娘カッシアとの身分違いの恋も描かれる。アンダーソン監督は、妻で女優のミラ・ジョボビッチの勧めもあり、人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」で注目を集める新進俳優キット・ハリントンを孤高の主人公に抜てき。「僕はアクションがキャラクターを作ると信じている。グラディエーターとは戦うために訓練を受けた男たち。彼らはじっと座って会話をするのは得意じゃないし、セリフで心情を吐露することも嫌うはず。感情はアクションを通じて表現できるし、言葉にしないことで伝わる感情もあると思うんだ」とフィジカルな表現でキャラクターを作り上げていった。
そうした俳優陣による臨場感あふれるアクションシーンを生み出すため、アンダーソン監督ならではのアプローチがあった。「例えば天井が落っこちて炎に巻かれるシーンも、安全面を考慮しながら実際に天井を落とし炎を燃やしている。つまり役者たちの恐怖の表情は本物なんだ。彼らの台本には、シーンによって“N・A・R”(No Acting Required)=“演じる必要なし”とメモされていたよ(笑)。僕がとことんやるってことをみんな知っているからね」と不敵に笑った。
そして、古代ローマ帝国を舞台としたクラシカルな物語でありながら、予定調和なラブストーリーとは一線を画す試みも。「3000年前の古典的なヒーローの物語だけど、それを最新のテクノロジーで描くことで全く新しいものに生まれ変わったと思う。そして最後は、“ハリウッド的”ではないエンディングを迎えるんだ。実はスタジオの要望もあって、2通りのエンディングを撮っている。だけど最終的にはスタジオも納得して、僕の描きたいラストシーンに同意してくれたよ。完成した映画のエンディングをとても誇りに思っている」と異彩を放つクライマックスにも注目したい。
「ポンペイ」は6月7日より全国で公開。
(C)2014 Constantin Film International GmbH and Impact Pictures (POMPEII) Inc.
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