中国の精神病院を撮影した初の国際的ドキュメンタリー「収容病棟」予告編
2014年4月18日 16:40
中国では2009年に当局が「精神病患者が1億人を超えた」と発表しており、急激な経済成長の陰で、その数はさらに増加の一途をたどっているが、その精神病院の実態は謎に包まれている。
ワン監督は200人以上の患者がいる雲南省の精神病院に3カ月半密着。中には入院して20年以上になる者もいるなど、「入院」というより、まさに「収容」といった状態だ。患者たちは多種多様で、暴力的な患者、非暴力的な患者、法的に精神異常というレッテルを貼られた者、薬物中毒やアルコール中毒の者、さらには、政治的な陳情行為をした者や「一人っ子政策」に違反した者までもが、“異常なふるまい”を理由に収容されている。ワン監督は社会から隔絶された鉄格子の中でも互いにいたわりあい、愛を求める患者たちに寄り添いながらその日常を撮影した。
予告編は、暗闇の中遠くに光が灯り、患者らしき男の奇声が響きわたるロングショットからスタート。その後、ワン・ビン監督ならではの被写体との距離で、撮影されていることなどまったく意識していないような収容者たちの日常や、「ここじゃ考えることしかやることがない」「ここに長くいると精神病になる」とつぶやく患者たちの本音も紹介する。そして最後は暗い病院内を半裸で走り続ける患者の背中を追い続けるショットに続き、鉄扉がガシャンと音を立てて閉まり、まるで観客が鉄格子の中に入れられてしまったかのように感じさせる仕上がりだ。
「収容病棟」は6月シアター・イメージフォーラムほかで全国公開。
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