「最も長い時間をかけて作った映画」アンジェイ・ワイダ監督が語る「ワレサ 連帯の男」
2014年4月4日 07:10

[映画.com ニュース]ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督がノーベル平和賞受賞者のレフ・ワレサ元大統領を描いた長編作「ワレサ 連帯の男」が公開する。「生涯に監督した映画の中で最も長い時間をかけて作った映画」と本作への思い入れをワイダ監督が語った。
スターリニズム全盛の時代とポーランドが乗り越えてきた戦後を映したドキュメンタリー「大理石の男」から36年、国家の支配を受けない共産圏初の自主管理労働組合「連帯」の誕生を描いたカンヌ映画祭パルムドール受賞作「鉄の男」から32年を経て、ワレサ3部作の完結編として発表する今作は、「東欧民主化」の口火となった「連帯」の戦いを、初代委員長レフ・ワレサと家族の日々を通して描く。
「私が生涯に監督した映画の中で最も長い時間をかけて作った映画です。希望を失うことなく、最も長い時間をかけて作ったのです。2回製作を仕切りなおさなくてはならなかった『カティンの森』よりもっと長い時間です」と明かす。

当時のストライキを経験しているヤヌシュ・グロワツキが脚本を担当した。「彼は長い亡命から我が国に戻ってきた作家です。アメリカの視点から、ワレサ現象を観る機会を持ちました。まさしく彼が、私に、ドラマツルギー上のある解決を暗示してくれたのです。映画を1970年の十二月事件から始め、ワレサ個人としての最大の勝利すなわち、ワシントンの米国議会で演説して、『私たち民衆は』と語った瞬間で終えることです。青二才から王様へ――このようなとてつもないストーリー展開は、想像で作り出すのは困難です。でもそれが私たちの目の前で起こったのです。私たちは、レフ・ワレサについて、彼が果たした役割についての真実の映画は、この時間枠に閉じ込められた作品であるべきであると判断したのです」
今作のタイトルについて当初は、「ワレサ」のみで十分だと思っていたそうだが、過剰に政治的な映画として受け取られることは望まなかった。「名字だけのタイトルでは、観客から、『賛成か反対か(支持か不支持か)』という一義的な言明を要求しかねません。これは映画であると明確に指示しておいたほうがよいと思いました。タイトルは、かつての2部作に続くパートとして、私の映画を見てほしいという私の願いです」
そして、「この新しい映画で、私はワレサをひたすら弁護しています。大衆の共感を失ってしまった政治家、敗北した政治家は数えきれないほどいます。私たちの目の前にいるのは、混沌とした、ポーランドにとってまたヨーロッパにとって極めて困難な時代に、私たちの集団的期待をかなえて見せた人間なのです」とワレサ元大統領への思いを説明した。
「ワレサ 連帯の男」は4月5日から岩波ホールほか全国で公開。
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