「レイルウェイ」原作者の妻が来日「過去にとらわれて生きるのはもったいない」
2014年3月27日 19:00

[映画.com ニュース] 元英国人将校と日本人通訳の実話を描いた「レイルウェイ 運命の旅路」の公開を記念し3月27日、原作者の妻パトリシア・ローマクス氏、ジョナサン・テプリツキー監督、脚本とプロデューサーを兼ねるアンディ・パターソン、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が都内で行われた試写会でティーチインを行った。
1995年の「エスクァイア」誌ノンフィクション賞を受賞した、エリック・ローマクス氏の自叙伝を映画化。第2次世界大戦時に日本軍の捕虜となり、タイとビルマを結ぶ鉄道の建設に狩り出された英国兵士エリック(コリン・ファース)は、過酷な経験を胸に秘めたまま、愛する妻パトリシア(二コール・キッドマン)と平穏に暮らしていた。しかし、当時建設現場にいた日本人通訳の永瀬(真田広之)が戦争体験を伝えるためタイで暮らしていると知り、過去と対じしようと決意したエリックは永瀬に会いにタイへ向かう。
ファース演じるエリック氏は12年、真田演じる永瀬氏は11年に他界しており、唯一存命であるパトリシア氏の来日が実現した。パトリシア氏は、「エリックが生きていたなら、きっとこの場に来たかったと思う。愛をもってつくられた作品なので、愛をもって受け止めてもらえればうれしい」と挨拶した。
長年にわたりPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされていたエリック氏は、パトリシア氏が代筆した手紙をきっかけに永瀬氏と再会を果たし、「主人は永瀬さんと会う瞬間まで復しゅう心をもち続けていた。しかし実際に対じしてみると、そこには自分と同じく年を重ねた男がいて、彼は主人に心から謝罪した。主人はそれを機にすべてから解放され、永瀬さんと戦争について語り始めた」と述懐した。
テプリツキー監督は、「これは人間性についての物語。人類にとって可能な限り最悪の行為、最上の行為を端的に表現している。ある夫婦の物語であり、どんな人にとっても普遍的なもの。映画を通して探求したいテーマだと感じた」と狙いを説明。鳥越氏も、「よくありがちな反日映画かと思ったら、最後は感動のラストシーンを迎える。人間には戦争行為という醜い側面もあるけれど、崇高な精神の側面もあるのだなと感じ、最後は涙した」と感銘を受けていた。
また、本作に登場する日本陸軍大佐の息子である駒井修氏が、パトリシア氏へ花束の贈呈に駆けつけた。“戦犯の子”と呼ばれた自身の体験を語り継ぐ活動をしている駒井氏は、07年にローマクス夫妻に会うため渡英した日を振り返り、「今でもエリックさんの大きな温かい手を思い出す。私の顔を見て『お父さんにそっくりだ』と言ったので、私は頭を下げたまま何も言えなかった。すると、『もう1泊して古城を一緒に歩こう』と言われた」と明かした。
本作とともに世界各国を飛び回ったパトリシア氏は、「どこの国も同じような問題を抱えている。今こそ過去とオープンに向き合い、個人がそれぞれの責任を知ることが必要なのでは。過去の苦しみの歴史を学ぶことで、未来の戦争を止めることができるのではないかと思う。過去にとらわれて生きるのはもったいないこと」と希望を語った。
「レイルウェイ 運命の旅路」は4月19日から全国で公開。
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