「凶悪」オーディオコメンタリーで、原作者らが当時の裏話を濃密に語る
2014年3月12日 14:10

[映画.com ニュース] 死刑囚の告発をもとに、雑誌記者が未解決の殺人事件を暴いたベストセラーノンフィクションを映画化し、第38回報知映画賞ほか全23冠を達成した「凶悪」が、4月2日にブルーレイ&DVD化されることが決定。音声特典として、2種類のオーディオコメンタリーが収録されることが分かった。
「キャストバージョン」と銘打たれたコメンタリーには、記者役の山田孝之、鬼畜ぶりが話題になった犯罪者役のピエール瀧とリリー・フランキー、そして白石和彌監督が参加。短期集中の撮影体勢に対して、「撮影のスケジュールが凶悪なんだよ!」とリリーのグチがこぼれるなど、本音のやり取りが聞きどころの内容となっている。
山田は、「一番しんどかったのはどの辺?」という白石監督の質問に対して、「精神的には大体きつかったです」と心情を吐露。「(撮影は物語の順番通りではなく、最初に)撮ったのが最後のカットのシーンで、じゃあ(さかのぼって)次のシーンの段取りに行くというときに、“その間に家でああいうことがあって、外でこういうことがあって、そして気持ち的にはこういう変化があって……”と、“今”と整理しなきゃいけない。また、それに当たって姿勢や髪のウエット感、(目の)クマの深さとか、一個一個整理するのが大変でしたね」と、名演技者らしい苦労を明かしている。
そして、実際に事件を追った原作者の宮本太一氏、記事が掲載された「新潮45」元編集長・中瀬ゆかり氏(ともに新潮社)と白石監督が担当したコメンタリー「原作バージョン」では、記事が発表された当時の様子が生々しく語られる。
「すごかった。NHKのニュースでやったんだよね?」と中瀬氏が振り返ると、「雑誌(『新潮45』)が発売される前日の夜7時のニュースでした。冒頭で2、3個流れるトップニュースの1つで流れて、それで火が付いたって感じでしたね」と宮本氏が回答。「(翌朝に三大紙すべてに出たという)タイミングでうちの雑誌が出るという、すごくいいタイミングで発売されました」と続けている。
「当時の『新潮45』はエロと事件に特化した雑誌でした。それで宮本は“事件に強い”と『週刊新潮』から来てもらったんですが、まさかこんなセックス雑誌みたいなところに……と彼は感じていたと思います(笑)」(中瀬氏)など、当時の状況が赤裸々に明かされるオーディオコメンタリー「原作バージョン」は、作品を見た人はもちろん、原作ファンにとっても聞き逃せない濃密な内容となっている。
「凶悪」ブルーレイ&DVDは4月2日リリース、レンタルも同日スタート。
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