中村蒼&大塚千弘、「東京難民」絶望の淵から見出した“希望”
2014年2月21日 14:45
[映画.com ニュース] タイトルからして重く、そして冷たい。ごく普通の大学生だった青年、真面目に働いていた看護師があっという間に全てを失い、都会の底なし沼へと転落していく。それでも、中村蒼と大塚千弘の口から「東京難民」への出演を志願した理由として発せられた言葉――それは“希望”だった。目を背けたくなるような、しかし都会の片隅に現実に存在する過酷な物語の先に2人が見つけたほのかな灯りとは?
唯一の肉親である父の失踪をきっかけに仕送りが止まり、学費も家賃も払えずに現代東京で文字通り行く当てのない“難民”となった修。ネットカフェでの生活に危ないバイト、ホスト見習い、ついにはホームレスへと流転していく。
冒頭で触れた「希望」、そして出演の理由にについて、中村はこう説明する。「主人公が転落していき、状況は過酷になっていくけれど、脚本を読み終えたら、どこかで前向きになっている自分がいて、なぜか希望を感じたんです。あんなに厳しい人生なのにすごく不思議で、この不思議な気持ちを修として体験してみたいって思ったんです」。
大塚は、ホストの修にひかれ、やがて貯金を切り崩し、借金までして多額の金を貢ぐようになる看護師の茜を演じた。「茜もやっぱり転落していくんですが、どこかで芯の強さや希望を感じてひかれましたね。私自身も徳島から15歳の時に一人で上京したので、地方から東京に来て、いろんなことを考えながら日々、悶々(もんもん)と過ごす彼女の姿に共感できるところもありました」
お気楽な大学生からホームレスになるまで、劇中ではわずか半年。その間の転落にもいくつかの段階がある。困惑し現実を直視できないネットカフェ生活、華やかに見えてどんどん虚ろさを増していくホスト時代、さらに日雇い、ホームレスと中村の表情や醸し出す空気は少しずつ、確実に変化を遂げていく。
「特別なことをしたわけではない。常に脚本を読み込み、自然と役に入っていった」そう語る中村からは、デビューから数年ながらも舞台、映画、ドラマとこれまで踏んできた場数、歩んできた過程への自負が感じられる。
「ネットカフェ難民やホームレスの問題は普段、意識していないだけで身近に存在することなんですよね。だから今回、演じるにあたって少しだけ注意して周りを見渡せば、いろんなことが見えてきました。今回は、よくある分かりやすいきっかけで人間が変わったように前向きになったり、考えが変わったりする役とは違って、少しずつ変わっていくのが大事だった。難しさは感じましたが、ほぼ順撮りで撮影することができたのはすごくありがたかったですね。常にその状況に向き合い、自然とそのときの修の気持ちに入れたと思います」。
大塚は大胆なラブシーンにも挑んでいるが、「まあ、脱いで減るもんじゃないし(笑)。監督を信頼して全てを出しました。当日、監督がわざわざ控室にいらして『これを聴いてくれ』と吉田拓郎さんの『制服』という曲を渡してくれたんです。最初はラブシーンにこの曲? と感じたんですが、集団就職を歌っていて、茜も上京して最初は夢を持ってたけど、いつの間にかただ時間が過ぎるようになり、そんな中で修と出会って……という情景が浮かんできましたね」。
「東京難民」は2月22日全国公開。
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
十一人の賊軍
【本音レビュー】嘘があふれる世界で、本作はただリアルを突きつける。偽物はいらない。本物を観ろ。
提供:東映
知らないと損!映画料金が500円になる“裏ワザ”
【仰天】「2000円は高い」という、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーンに急いで!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【人生最高の映画は?】彼らは即答する、「グラディエーター」だと…最新作に「今年ベスト」究極の絶賛
提供:東和ピクチャーズ
ヴェノム ザ・ラストダンス
【エグいくらい泣いた】「ハリポタ死の秘宝」「アベンジャーズ エンドゲーム」ばりの“最高の最終章”
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
予告編だけでめちゃくちゃ面白そう
見たことも聞いたこともない物語! 私たちの「コレ観たかった」全部入り“新傑作”誕生か!?
提供:ワーナー・ブラザース映画
八犬伝
【90%の観客が「想像超えた面白さ」と回答】「ゴジラ-1.0」監督も心酔した“前代未聞”の渾身作
提供:キノフィルムズ
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。