売春する女子高生描く「17歳」速水由紀子が分析 オゾン監督を「自己認識は熟女」とも
2014年1月30日 13:30

[映画.com ニュース]フランソワ・オゾン監督の最新作「17歳」の試写会イベントが1月29日都内で開催され、ジャーナリストの速水由紀子氏が、売春を繰り返す女子高生を描いた作品について語った。
映画は名門高校に通う17歳の少女イザベルが主人公。夏休みに初体験を済ませ、やがて不特定多数の男たちを相手に売春を重ねるようになる。少女と女の狭間で揺れ動く17歳の性を繊細につづった青春ドラマ。モデル出身の新人女優マリーヌ・バクトが主人公イザベルを演じ、「まぼろし」のシャーロット・ランプリングらが共演する。
「援助交際」と呼ばれ、90年代後半に社会問題となった女子中高生の売春の実態を取材し続けてきた速水氏は、本作の主人公と“援交”する日本の女子高生の「心、気持ちは変わらない」という。タイトルでもある17歳は「一番若くて美しい時に一番何も持っていない」年齢だといい、「だからすべてを手に入れるためにいろんな策略をめぐらす。自分の顔や性格に価値があると認めてもらえないと大人の女になれない。ちょうど大人と子どもの境界線で、そこで闘わなければいけない時期」と分析。そして、「娘と母親は実はライバル。母親に勝たなければ家庭で主役になれない」と持論を述べ、本作でも「イザベルと母親との関係がキーになっている」と話した。
社会的地位のある父親を持ち、金銭的な不自由がなく、頭もよく容姿にも恵まれながらも売春をしていた日本の女子高生の例をいくつか挙げ、その背景には、彼女たちが家族に認められない不満があったり、自分自身の価値を見出したいという欲求があったと話す。「援交で稼いだお金は、生活のためのお金ではなく、ボディやルックスを認められることで、自分のバリューにつながる。17歳でそんなお金が稼げる仕事は一つもない。家庭でも自分の価値を認められなかったら、どこかで自分のバリューを見つけ出す場所を開拓しなくてはいけない。それが“ウリ”(売春)であることもある。彼女たちの話を聞いて実感した」と振り返った。
本作はR18+指定となっているが、「陰湿なエロさがないので、ヌードもファッション雑誌を見るように楽しめる」と美しい性描写のシーンを絶賛。同性愛者であることを公にしており、しかも“イケメン”のオゾン監督だが、その作風から「オゾンの自己認識は熟女。あんなイケメンなのに心はオバサンなので、女性の心理をどこまでも容赦なく追求している。普通の(男性の)監督なら、マリーヌにデレデレになってしまうはずなのに、結構な扱いをしている。そういう目で見るととても面白い」と話し、会場を沸かせていた。
「17歳」は2月15日から全国公開。
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