三上博史「できないことをやろうという骨太さ」に満ちた主演ドラマ「震える牛」を語る
2014年1月7日 13:50

[映画.com ニュース] 食品偽装問題というタブーに切り込み、食品業界の闇をあぶり出したWOWOWの社会派連続ドラマ「震える牛」。未解決のまま放置されていたある強盗殺人事件に疑問を抱いた刑事が、捜査を進めていくうちに新たな衝撃的事実を暴き出していく。地道に丹念に事件の真相に迫っていく刑事・田川を熱演した三上博史が、本作に込めた熱い思いを語った。
原作は、2005年に出版された「デフォルト(債務不履行)」で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞した、相場英雄氏の同名ベストセラー小説。意味深なタイトルからも想像ができるように、数年前に日本全土を震え上がらせた狂牛病がドラマの輪郭を描く重要な題材のひとつだ。三上は、「やはりそういった題材に切り込めるのはWOWOWの素晴らしいところ。そんな良心的な現場から声をかけてもらえることはすごくうれしい。例えば、脚本家の井上由美子さんが書いたオリジナルドラマ『パンドラ』は、ガンの特効薬をめぐった利権がらみで色々な企業が動き出す物語。製薬会社がスポンサーに入っている民放では難しく、WOWOWだからこそ実現した企画。できないことをやろうという骨太さ。それが、本来の表現者の物づくりへの向き合い方であるべきだと思うんです」と真しに語った。
WOWOWドラマ常連の三上にとって、ドラマW「パンドラ」以来組んできた青木泰憲プロデューサーとの信頼関係も大きい。「僕は役者として芝居のアイデアは出せるけれど、他のことは出せない。僕はもう役者を30年以上やっているので、共演したことのない人があまりいない。そんな中、青木プロデューサーは僕が今まで組んだことのない人をわざわざ探し出してキャスティングしてくれた。小林薫さんをはじめ、吹石一恵さん、平山浩行さん、遠藤要さんたち。これはもう愛情です」と長年かけて培ったチームワークに感謝する。
そんなフレッシュな共演者との芝居は、「やっぱり刺激になる。モチベーションや緊張感も生まれるし、相手がどういう風に出てくるか分からないから、こちらも色々な準備をしておく。色々と対応できる引き出しを作っておくことが大事だったので、現場に入る前の準備の方が大変だったかもしれない。何度も共演したことのある相手なら、『こういう風に出てくるんだろうな』って分かってしまうけれど、今回は返しの芝居も何パターンも用意して撮影に臨みました」と準備にも余念がない。
徹底的な役作りを行うことで知られる三上だが、NHKドラマ「実験刑事トトリ」での珍妙な刑事役も記憶に新しい。本作ではどのような刑事像を作り上げたのか。「今回の刑事は、目立たなければ目立たないほどいいと思っていた。髪型も凡庸で、スーツもちょっと良いものだけど着古しているもので、靴は歩き回るので耐久性のある消耗品。口調も普通で、視線もあいまいなところで泳がせる。主人公といえども、どこにでもいるような地味な人にしたかった。僕だけがスタンドプレイしてもダメ。どういうプロジェクトにするか、外枠から俯瞰(ふかん)で見て役柄をチューニングすることが大事なんです」と微細に練られた役作りを明かした。
本作に登場する人物たちはそれぞれ深い悩みを抱え、葛藤(かっとう)と失敗を繰り返しながら人生の突破口を見つけようともがく。三上は冷静に彼らを見渡し、「ブレると人って不幸になるんです。本当にお金が好きだったらいい。そこに向かってとことん突き進むことが幸せなはず。だけど大抵の人間ってそんなことはなく、本当にほしいものはやりがいや生きがいだったりする。だから、そんな生きがいを1つでも見つけることができれば、いくら他の場所で苦労してもそれは幸せなことだと思うんです」と役者という芯をブレずに保ち続ける三上らしい言葉が、我が身をかえりみず必死に事件の真相を追う刑事・田川の姿と重なった。
「震える牛」DVDは、2014年1月8日リリース(TSUTAYA限定でレンタルも同日スタート)。
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