「祭の馬」松林要樹監督、製作過程の変化を明かす「馬の美しさだけを残していった」
2013年11月26日 13:10

[映画.com ニュース] 東京・有楽町で開催中の「第14回東京フィルメックス」のコンペティション部門にノミネートされた日本映画「祭の馬」の上映が11月25日に行われ、松林要樹監督がティーチインを行った。
東日本大震災を奇跡的に生き延びながら、生殖器が腫れ上がったまま元に戻らなくなってしまうという症状に見舞われた馬・ミラーズクエストをはじめ、福島・相馬で被災した馬たちの過酷な運命を見つめたドキュメンタリー。
同じく相馬を舞台にしたドキュメンタリー「相馬看花 第一部 奪われた土地の記憶」で注目を浴びた松林監督は、「最初は馬をうまく扱えなかった。馬の避難所で世話をする人が足りなかったので、ボランティアで馬の厩(きゅう)務員のアシスタントみたいなことから、馬がどういう生き物なのかを知ろうと取材を始めた」と経緯を語った。また、「おがくずを交換した時に、砂浴びをする馬の姿を初めて見た。馬が全身で喜びを語っている姿を見て、人間を描くよりもどんどん馬に魅了されていった。前半と後半の構成が違うのは、途中から人間の部分を削ぎ落とし、馬の美しさだけ残していこうとした結果」と説明した。
そして、「『祭の馬』たちの物語というよりは、人間と馬の関係を考える映画だと思っている。映画の最後に火が燃えているイメージと逆再生の原発事故の映像が重なる部分があるけれど、人間と他の動物の違いは火を使うかどうか。人間が火を扱えると勘違いしているイメージを表現したかった」と意図を明かした。取材が厳しく取り締まられた区域での撮影について質問されると、「当時そこが自衛隊の駐屯地だったので、市の人たちからはきゅう舎でカメラを回すのはよくないだろうという話もあり、馬主さんも取材を受けることを好んでいなかった。だけど早い段階から取材に入って手伝いの真似事をしているうちに、ひよこの卵のように仲間の一員として認められ、取材をすることができた」と厚い信頼関係を築いたことで取材が可能となった。一方で、現在議論が活発化している「特定秘密保護法案が成立してしまうと、こういう作りのドキュメンタリーはもう撮れなくなると思う。僕自身、そのことを今深く考えている」と危惧した。
本作を出品した「アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2013」から帰国したばかりの松林監督は、「真面目そうな同世代の男性が恥ずかしそうに、『文化の違いかもしれないけれど、どうして監督はそんなに男性器にこだわるのか?』という質問が印象深かった。放射能は生殖機能に影響を与えているのでは、というイメージがあった」とオランダ上映での反響も語った。
「祭の馬」は、東京・渋谷のシアターイメージフォーラムで12月14日より公開。
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