資材メーカーの元社長がメガホンをとった自主製作時代劇が公開 若林豪に聞く
2013年10月18日 07:00

[映画.com ニュース] 大阪府東大阪市の建設資材メーカーの元社長・三上康雄氏が自主製作した時代劇映画「蠢動 しゅんどう」が、10月19日に公開される。物語の鍵を握る城代家老・荒木を演じた俳優の若林豪に、時代劇映画の魅力を聞いた。
学生時代に自主映画を数本製作した経歴を持つ現在54歳の三上氏が、「(現代に)自分の見たい時代劇映画はない。だから、自分でつくる」という信念のもとに、監督・脚本を手がけ完成させた本作。立ち回りなど時代劇ならではの要素をふんだんに取り入れた正統派の時代劇で、武士道の義を貫こうとする剣術師範役を平岳大、若き藩士役を脇崎智史が務めている。
他業界からやって来た無名監督のオファーにもかかわらず、出演を快諾したという若林。その理由について「三上監督は映画が好きで好きでしょうがない。情熱は誰にも負けないと思うんです。だからその熱意に負けた」と明かす。そして「今こういう映画がないんですよ。だから、『よくぞこういうのをやってくれた!』と思います」と笑みを浮かべた。
今年9月に74歳を迎えた若林だが、自身のキャリアに関して驚くほど控えめだ。今回の役については「自分がやって迷惑をかけないかどうか。私の年齢で、背伸びせず浅い知識の中でやれるかどうかを第一に考えた」と話し、「僕、恥ずかしくて(自分の出演シーンを)見られないんですよ。映画でもテレビでも。『まだこれくらいしかできないのか』と、いつも役者を辞めたくなっちゃうんです(笑)。へたくそだから。これ以上恥をかくのが嫌だから辞めようと思うんです」と一貫して謙虚な姿勢を見せる。
だがやはり出演作への思い入れは深い様子。本作が描く人間ドラマの普遍性について触れると、「現代に通じるものがある。まったく時代劇と考えないで見ると、サラリーマン社会と同じなんです。お家を守るため、藩を守るために理不尽なことが行われる。死ななくてもいい人が死んだりする」と、根底にあるテーマを語る。
今のサラリーマン社会についても深い洞察を示し、「みんな大変なところで生きている。特に40代、50代は組織のために理不尽なことを強いられたりして、そういうことを潜り抜けながら生きているわけでしょう。昔は昔の大変さがあったけど、今の方が大変ですよ。地道にコツコツ勉強しても、コンピューターとかそういう物が不得手な人は、優秀でも歯車に入っていけない。そういう人が今一杯いて苦しんでいる。だから今は幸せな時代ではないんです。汗をかいて頑張っても、どうにもならないこともある時代」と持論を展開した。
しかし、だからこそ応援したいと熱い気持ちもにじませ、「降りかかる火の粉は上手にはらって、頑張ってほしい。色々なやり方があるはず。そういう人たちに、この映画で何か感じてもらえたら何より。正しい見方はない、それぞれの見方で楽しんでもらえれば、それだけでいいと思っています」と力強く語った。「蠢動 しゅんどう」は10月19日から全国で公開。
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