「わたしはロランス」カナダ出身の新鋭グザビエ・ドラン監督に聞く
2013年9月5日 19:00

[映画.com ニュース] 18歳で撮った自伝的な初監督・主演作「マイ・マザー」が、いきなりカンヌ映画祭の監督週間部門に選ばれ話題となり、以後3作目にあたる今回の新作まで連続でカンヌに参加という、生え抜きの優等生であるカナダ出身のグザビエ・ドラン監督。もともと6歳で子役としてデビューしただけに自作自演は当たり前のことらしい。だが新作「わたしはロランス」では、主演の座をメルビル・プポーに明け渡し、自分はカメオで登場しつつ演出に専念している。ロランスは愛する恋人がいながら、どうしても女性になる夢をあきらめられない学校教師。ついに恋人に秘密を打ち明け、それでも関係性を保ちたいと望む彼だったが、恋人は激しく動揺し、職場も追われるはめに。理屈では割り切れない欲望を抱えてもがく主人公を切実に描いたドランが、本作について語った。(佐藤久理子)
「実は僕の前作のスタッフのなかで、別れた旦那さんが実際にトランスベスタイトになった人がいてね。その話を聞いて興味を惹かれたのがきっかけだった。この映画のカップルはお互い深く愛し合っているのだけど、そもそも自分らしく生きることなしに人を愛することなんてできないだろう? そこに主人公の苦悩があると思ったんだ」

「僕はもともと俳優としてキャリアをスタートしたし、こういう風に演じてほしいというイメージがあった。最初メルビルはとても抑制された演技を準備してきた。でもそのままだとちょっと大人しすぎる気がしてね。もちろん静けさもときには必要だけど、たとえば僕はこの役をエリア・カザンやフランシス・フォード・コッポラの映画に出てくるような、メソッド・アクターみたいに演じて欲しかった。メルビルはそれをすぐ理解してくれたよ。彼は繊細な感受性の持ち主で、なおかつ自分を完全に役に明け渡すことができるんだ」
「そうだな、よくペドロ・アルモドバルと比較されるけれど、僕自身は彼の作品を3本ぐらいしか見ていない。フランソワ・トリュフォーやジャン=リュック・ゴダールは好きだけど、ヌーべルバーグをすべて肯定するというわけでもない。ウォン・カーウァイは好きだよ。でも正直言って、実はそれほど映画オタクというわけじゃないんだ(笑)」
「わたしはロランス」は9月7日から新宿シネマカリテほか全国で公開。
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