「グレート・バリア・リーフ」監督、子どもたちに希望託す「優秀な海洋生物学者になって」
2013年7月28日 18:30

[映画.com ニュース] オーストラリア東部に広がる世界遺産グレート・バリア・リーフを舞台に、そこに生息する海・陸の動植物たちの生態をダイナミックに描いたネイチャー・ドキュメンタリー「グレート・バリア・リーフ BBCオリジナル完全版」のジェームズ・ブリッケル監督がこのほど来日し、作品に込めた思いや見どころを語った。
ネイチャー・ドキュメンタリーの本家BBCが、世界の自然七不思議のひとつに数えられ、1981年には世界遺産に登録された2000キロに及ぶ世界最大のサンゴ礁地帯「グレート・バリア・リーフ」に長期密着。ブリッケル監督は、「小さい頃から動物が大好きだった。好きなことを仕事にしたくて、大学でも動物学を学び、18歳からダイビングを始めたんだ。世界一ラッキーな仕事を見つけたよ」と話し、あらゆる生きものたちへの純真な興味、視線の熱さを感じさせる。
夜行性のサメ・ネムリブカの狩りをとらえたシーンでは、雰囲気たっぷりの音楽も手伝ってホラー映画のような趣をかもし出す。ブリッケル監督は、「昼間に見るとゆったり泳いでいるけれど、彼らは夜になると豹変する夜の狩人なんだ。センサーが非常に優れていて、蛇のようにサンゴや岩の穴蔵に入っていく。1匹が狩りを始めるとたくさんのネムリブカが集まってきて、コンセプトは『ジキルとハイド』。作曲家も素晴らしい仕事をしてくれたよ」と遊び心も満載だ。
また、世界初となった2万6000頭ものウミガメの一斉産卵シーンは圧巻のひと言。母カメは文字通り命がけで産卵し、2カ月あまりでふ化したカメたちは浜から海にたどり着くまでに、海鳥やカニなどの天敵と熾烈なサバイバルを繰り広げる。「アオウミガメの専門家の調査データをもとに、産卵の時期や場所を把握して予測したんだ。後はその島で待機することしかできない。あんなにたくさんのカメたちを撮影できるなんて運が良かったけど、ネイチャー作品は運も自分でつかんでいかないといけない」と強い意志のもと奇跡的なショットを収めることができた。
サンゴの白化現象や海水の酸化など環境問題の提起も忘れないが、基本精神はビジュアルで見せるエンタテインメント。「この仕事をしていると、地球という惑星についてより知ることができる。マッチの頭のサイズのサンゴから、南極から遥々やって来るザトウクジラまで、全てつながっていることが分かるんだ。そして人間もまたそのサイクルの一部。現代ではテクノロジーの進んだ世界で動物的な本能を抑えているところもあるけれど、人間もきちんとつながっているよ」と前向きだ。
そして、「BBCの作品には3つの要素がある。娯楽性、教育性、情報性。どれが欠けても良い作品にはならない。頭ごなしに環境保護を訴える説教くさい作品をつくるより、もっと柔らかい形で環境保護の実態を分かち合うことが大事だと思うんだ。僕はデイビッド・アッテンボローにあこがれてこの世界に入ったけど、この作品を見た日本の子どもたちが海に興味をもち、いつの日か優秀な海洋生物学者になってサンゴ礁を救うかもしれない。それだけで、僕も素晴らしい仕事をしたと誇りに思えると思う」と笑顔で語った。
「グレート・バリア・リーフ BBCオリジナル完全版」のブルーレイ&DVDは、現在発売中。
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