ジャック・ドワイヨン「女の子が父を愛するのは当たり前」 愛娘ルーの告白に笑顔
2013年6月24日 16:30
[映画.com ニュース] フランスの最新映画を日本に紹介する「フランス映画祭2013」で、ジャック・ドワイヨン監督の「アナタの子供」(2012)が6月23日に上映され、ドワイヨン監督と、主演を務めた監督の実娘ルー・ドワイヨンがティーチインに参加した。
ルー演じるアヤは、7歳の娘と歯科医の恋人ヴィクトールと暮らすが、前夫で娘の父親のルイと時々会っており、ルイはアヤが恋人との子どもを望んでいると聞き嫉妬を隠せない。そして、アヤがルイと会っていることを知ったヴィクトールも心中穏やかでない。1人の女と2人の男の愛のもつれを描いたラブコメディ。
ルーにとってドワイヨン監督の作品には12年ぶり、3度目の出演となった。はじめの2回は若く、経験が浅かったために親子と仕事の関係が混ざっていたようだったといい、「今回は本当に大人になって、純粋に仕事の関係で演じられたことがうれしかった」と振り返る。
ドワイヨン監督は役者に対する演出が厳しいことで知られているが、それは娘のルーにとっても同様だそうで「要求が高い監督です。最良のものが出せるまで許してくれないのです。これは一つの愛の形だと思います。それは私ができると信じてくれているからだと思います」と語る。そして、「私は父を愛しているから、父が監督をする映画だけに出たいと思うのだろうかと疑問に思いました」と心の内を明かすと、ドワイヨン監督は「女の子が父を愛するのは当たり前だ」と笑顔を見せた。
登場人物の設定や心の動きを表現するための演出法について観客から質問を受けたドワイヨン監督は、他の監督の作品で「登場人物が映画の最初から最後までまっすぐな線を軌跡としてたどっていること」にいら立ちを覚えるといい、「モンテーニュは、人間は波打つように揺れ動く存在だと言っています。そうしたところが重要で、私の全作品はそれに基づいています。観客の中にはその状態にいら立つ方もいらっしゃるようですが、私にとってまっすぐな線は恐ろしく、うそだと思うのです」と持論を述べた。
今作では、ルー演じるアヤの娘に扮した子役のいきいきとした存在感が作品にリズムを与えるような重要な役割を果たしている。ドワイヨン監督はこれまでも子どもが重要な役を演じる作品を数多く撮っており、「ポネット」(1996)では、主演のビクトワール・ティビソルがベルリン国際映画祭主演女優賞を最年少で受賞している。「子どもは演技のノウハウを持っていないからこそ、仕事をするのが容易い」そうで、「今まで一度も問題があったことはない」という。そして、子役の起用について「『ポネット』を撮ったときビクトワールは4歳で、このように才能のある子どもと仕事をすることは、期待もしなかったような良い驚きがたくさんあり、完全な幸福です。ですから、自分の作品に子どもを配置する可能性があれば、ためらわずに使います」と話した。
「フランス映画祭2013」は、有楽町朝日ホールほかで6月24日まで開催。ドワイヨン監督の新作「ラブバトル」は11月公開。