原子力と遺伝子組み換え作物が与える影響を映した衝撃のドキュメンタリー 監督に聞く
2013年6月7日 07:00
[映画.com ニュース] 食の安全性を追求したドキュメンタリー「未来の食卓」「セヴァンの地球のなおし方」で知られる仏監督ジャン=ポール・ジョーの新作「世界が食べられなくなる日」が、6月8日に公開される。今作では、原子力と遺伝子組み換え作物という、すでに世界中に拡散され、体内に蓄積されやすく、命を脅かす危険性のある2つのテクノロジーに焦点を当てた。来日したジョー監督が、未だ収束しない福島原発事故、TPP交渉参加で揺れる日本へメッセージを寄せた。
2009年に仏カーン大学のジル・エリック・セラリーニ教授の研究班が、遺伝子組み換えトウモロコシ、遺伝子組み換え種子を開発するモンサント社の農薬「ラウンドアップ」を散布して栽培したトウモロコシなどを、いくつかの組み合わせでラットに2年間与えたところ、4カ月目から死亡例が出現、その後も続々と腫瘍の発生率、死亡率が上昇したという驚くべき結果がでた。なお、現在市場に流通している遺伝子組み換え作物の安全基準は、ラットに3カ月間与え続けても問題がないという実験結果を基に販売されているという。
セラリーニ教授はこの実験過程の撮影をジョー監督に許可し、誰しもが確認できるラットの変異がカメラに収められた。「社会参加(アンガージュ)をする映画監督にとって、研究性がある作品を撮るのはひとつの義務だと考えています」とジョー監督は語る。セラリーニ教授は、20世紀に世界を激変させたテクノロジーが、核エネルギーと遺伝子組み換え技術だと指摘し、作品冒頭でこう警告している。「米国エネルギー省は、原爆につぎ込んだ金と技術を使って、ヒトゲノムの解析を始めました。そこから遺伝子組み換え技術が誕生しました」。
ジョー監督は東日本大震災前に発表した「セヴァンの地球のなおし方」のなかで、既に日本の原発のリスクを指摘しており、震災後日本を訪れ、福島と上関原発計画の中止を求める山口県祝島での取材を敢行した。「ラットの実験の撮影が始まって3・11が起きました。ですので、この映画で原発と遺伝子組み換え作物を結びつけなければならないと考えたのです」。
原発事故による放射能汚染、TPP参加が決定すれば遺伝子組み換え作物の更なる国内流通は避けがたく、日本の食の安全性の不安は増すばかりだ。ジョー監督は「遺伝子操作作物は買わないこと、そしてできれば有機栽培のものを買うようにすることによって、NOと言うことができます。原子力に関しては、日本は現在54の原子力爆弾を抱えているようなものです。その一つ一つが過去の広島、長崎の爆弾より威力があるということを忘れないでほしいのです。福島の悲劇はまだ始まったばかりで、これからも更なる悲劇が日本で起こりえるのです」と強い思いを込めて語った。
「世界が食べられなくなる日」は、6月8日から渋谷アップリンクほか全国順次公開。
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