舞台版「もののけ姫」が日本で開幕、演出家「宮崎駿監督に感想を聞きたい」
2013年4月30日 13:53
[映画.com ニュース]宮崎駿監督の名作を初めて舞台化した「Princess MONONOKE~もののけ姫~」の上演が4月29日から東京・渋谷のアイア シアタートーキョーで開幕し、演出を手がけるイギリスの気鋭劇団「Whole Hog Theatre」(ホール・ホグ・シアター)のアレクサンドラ・ルター氏、マキシミリアン・トロイ・タイラー(アシタカ役)、三宅由利子(ヒイ様役)が取材に応じた。
劇団創設者の一人であるルター氏が作品に感銘を受け、「もののけ姫」の舞台化を宮崎監督にオファー。劇団製作によるデモ映像を見た宮崎監督が、初めて自作の舞台化を許諾した。ルター氏は「もののけ姫」を題材にした理由を「シシ神様の喪失と、二度と時間が戻ることのない舞台という表現が重なり合った」と説明。「新しい解釈と、映画の感動をバランス良く共存させることが難しかった」といい、「ぜひ宮崎駿監督と直接お会いして、率直な感想をうかがいたい」と語った。
舞台は文明と自然の衝突を通して、環境問題を提起した映画にふさわしく、ビデオテープでタタリ神を表現したり、リサイクル素材を利用した巨大パペットが登場したりと“エコ”なこだわりが随所に見られ「キノコはペットボトル製なんです」(ルター氏)。ストーリー展開は基本的に映画に忠実で、「あの子を解き放て!あの子は人間だぞ!」(アシタカ)、「アシタカは好きだ、でも人間を許すことはできない」(サン)といった映画の名ゼリフも登場する。
一方で、官能的なダンスで登場人物の心情を表現するという、舞台ならではの演出も施されている。ルター氏によると、日本の文楽の影響があるといい「人形つかいの細部にこだわる正確さに驚きました。それにスローモーションのシーンが増えたのも、文楽の影響ですね」。さらに「もののけ姫」の世界観から「日本的な古(いにしえ)の神々への敬意を感じ取った」と明かしていた。
アシタカ役のタイラーは「『もののけ姫』が生まれた日本に凱旋できるのは、またとない機会で光栄」と感無量。三宅も「もともと『もののけ姫』が大好き。その日本公演の一員になれて光栄だし、感謝している」と喜びを噛みしめていた。舞台「Princess MONONOKE~もののけ姫~」は、4月29日~5月6日に東京・渋谷のアイア シアタートーキョーで上演。5月6日に行われる千秋楽の模様が「ニコニコ生放送」でネット生中継される。