デビュー30周年・永瀬正敏、絶食して晩年の坂口安吾演じる
2013年3月20日 13:45
[映画.com ニュース] 坂口安吾の小説「戦争と一人の女」「続戦争と一人の女」を映画化した官能文芸ドラマ「戦争と一人の女」の完成報告会見が3月19日、都内で行われ、主演の江口のりこ、永瀬正敏、村上淳、脚本家の荒井晴彦、井上淳一監督、寺脇研プロデューサーが出席した。
第二次世界大戦末期から終戦後の東京を舞台に、時代に翻弄(ほんろう)された男女の交錯する運命を描く。戦争に絶望した作家の野村(永瀬)と元娼婦で飲み屋の女将(江口)が刹那的に同棲を始め、貪るように体を重ねる。一方、中国戦線で片腕を失い帰還した大平(村上)は、戦場での精神的後遺症から女性を強姦・殺害し、罪を重ねていく。
永瀬は、安吾自身がモデルである野村役に「外見の意識というよりは、少しでも近くに降りてきてほしいと思っていた」と神妙な面持ち。晩年の薬物にまみれたシーンの撮影中は絶食していたといい、「ヒロポン中毒にはなれないので、気持ちや精神状態でも近づきたかった」と渾身の役作り。今年でデビュー30周年を迎えるが、「僕みたいな役者を30年間も使ってくれた映画界に感謝。30周年の節目にこの作品があることをすごく光栄に思ってる」と語った。
江口は「共演したキャスト・スタッフに恵まれ、充実した日々を過ごせた。とにかく色々な人に見てもらいたい。ただそれだけしかない」と挨拶。過激な濡れ場にも果敢に挑み、「みんなが助けてくれた。心強い人たちばかりだったので、あんまりストレスだったりよく分からない不安みたいなものはなかった」とあっけらかんとしていた。村上演じる大平役は、終戦後に世間を震かんさせた犯罪者・小平義雄がモデルになっており、「確かにハードな描写もあった。そういうシーンがどうお客さんにとらえられるのかが楽しみ。低予算でスケジュールがタイトな中、たまたまある日の撮影で3人犯して3人殺すという日があって、すごい日だなって思ったのは忘れません。見るのに体力のいる作品」と述懐した。
若松孝二監督の下で映画作りを学び、本作で初メガホンをとった井上監督は「若松さんからは演出という具体よりも、自分の金で自分の責任において映画を作るという、インディペンデントな作家としての影響を受けた。撮影終了後に(若松プロの先輩)片嶋一貴プロデューサーに、『おまえ、若松孝二に似ているな』と言われ、決してほめ言葉じゃないと思うけど、やっぱり似るのかとがく然とした」と胸中を吐露。本作を企画した元文部科学省官僚で映画評論家の寺脇氏は、「映画を作ってみると大変だから他の映画をけなせなくなると聞くけど、私の場合、『みんななんて金かけて下らない映画を作ってるんだ』と、むしろ他の映画に攻撃的になっている」と明かし、笑いを誘っていた。
「戦争と一人の女」は4月27日から公開。
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