ピーター・バラカン&五十嵐正、オスカー受賞の音楽ドキュメンタリーを語る
2013年3月7日 14:00
[映画.com ニュース] 第85回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「シュガーマン 奇跡に愛された男」の公開記念トークイベントが3月6日、都内の試写室で行われ、ラジオDJで音楽評論家のピーター・バラカン氏、音楽ジャーナリストの五十嵐正氏が出席。数奇な音楽人生を送ったミュージシャン、ロドリゲスと本作について語り合った。
1970年代に米デトロイトからこつ然と姿を消した後、南アフリカで伝説となったシンガーソングライター、ロドリゲスがたどった運命をひも解いたドキュメンタリー。マリク・ベンジェルール監督が謎に包まれたロドリゲスを追いかけ、2006年から4年の歳月をかけて完成させた。ふたりは、ともに「感動した」と振り返り、ロドリゲスがミュージシャンとして歩みだした当時のデトロイトの状況、海外のレコード会社の特性やアーティストとの付き合い方、ロドリゲスの実像に迫りながら本作を解説した。
五十嵐氏は、1月末にロドリゲス本人にインタビューを敢行したそうで「いろんな人から『(ロドリゲスは)しゃべるの?』と聞かれる。映画を見ると寡黙に見えるけれど、この映画を撮った時はこの作品に懐疑的だったらしい。普通に明るく話してくれた(笑)」と述懐。バラカン氏が「(劇中で)コンサートの舞台に出た時、ものすごく自然に歌っているのにびっくりした。根っからの演奏者だと思った」と話すと、「ギターがすごく好きでいつも弾いていたらしい。曲も少し作っていて、常に音楽には耳を傾けてきた。でも、人前で曲を歌ってはいなかった」と明かした。
バラカン氏は、ロドリゲスがアメリカで成功しなかった理由を「プロモーションしなかった点と、音楽性が当時の社会に合っていなかったと思う。今聞くとなじんでくるけど、70年くらいにはもっとインパクトの強い曲があったから売れなかったのも不思議ではない」。五十嵐氏も「(所属していたサセックス・レコードに)共通点のあるフォーキーなソウルのビル・ウィザーズが売れたから、そういうタレントはふたりいらないという考えがあったのではないか」と分析した。そして、五十嵐氏は「白人はアパルトヘイトで抑圧している側だけが見えているけれど、検閲など抑圧されていた白人の姿を教えてくれた映画。ロドリゲスは『彼らは60~70年代の(体制に抗議する若者による運動があった)時代を背景にした自分の歌に共感を覚えたのだろう』と語っていた」と伝えた。
「シュガーマン 奇跡に愛された男」は、3月16日から全国で公開。
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