「サウダーヂ」が甲府の旅館で凱旋上映 大ヒットまでの道のり振り返る
2013年2月2日 17:50

[映画.com ニュース] 山梨県で映画と文学をテーマにした映画賞「山梨文学シネマアワード 2013」でクリスタルアワードを受賞した「空族」の「サウダーヂ」上映会が2月1日、甲府市湯村の旅館明治であり、富田克也監督と脚本を担当した相澤虎之助がトークイベントに出席した。
「サウダーヂ」は、甲府市を舞台に、若い土木作業員、派遣労働者、日系ブラジル人やタイ人ら移民が不況をあおりを受けながら生きる姿、空洞化が進む地方都市の閉塞感をあぶりだした意欲作。ナント三大陸映画祭でグランプリ「金の気球賞」受賞をはじめ、国内外で高い評価を受けている。
富田監督、相澤を含む5人のメンバーからなる「空族」は製作から配給、宣伝まですべてを自分たちで手掛けている。自主製作作品としては驚異的な動員人数を記録している本作だが、ここまでの道のりは決して平たんではなかった。自己資金や借金で映画づくりを続けてきた苦労を明かし、国からの助成金申請に役立つよう、3年前に株式会社化した経緯を説明した。映画と両立していたほかの仕事の経験も生かされているとのことで、相澤は「同好会のように続けてきた不遇の10数年が何かの役にたった」と振り返った。
今回、地元甲府での凱旋上映となった。この日初めて本作を鑑賞したという男性からは、「私は70年安保で育ってきたが、この映画、ヒップホップにその時の感動を覚えた」という感想が寄せられた。
富田監督は「街を主人公にした映画を作りたいと思った。街はあらゆる世代差、男女、人種の違い、あらゆる人間の価値観の違いが一緒になって住んでいる場所、それをとらえるべく、こういう形の描き方になった。僕はどちらかというとロック世代ですが、世代差という表現でヒップホップという要素を入れました。世代間の断絶ということも描きたかったので、そのような感想をいただけてうれしい」と答えた。
そして、「この作品は現在の僕らの反抗の表明。僕らが世界をひっくり返してやろうなんていう大仰なことを考えても手が届かないが、身近にある耐えられないことに、いい加減ノーを言っていかないとどうにもならない世の中が来ている。これからも僕らの映画にはあらゆるものに対してこういう何かを込めていこうと思っている」と決意をにじませた。
イベントには、本作に出演した山梨県笛吹市一宮町出身のラップグループ「stillichimiya」(スティルイチミヤ)のメンバーふたりが登壇し、フリースタイルと呼ばれる即興のラップを披露。会場を大いに盛り上げた。
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