三谷幸喜、あこがれの野田秀樹への複雑な思いを脚本に反映?
2013年1月23日 15:00
三谷と野田が舞台でタッグを組むのは初めて。2009年に野田が同劇場の芸術監督に就任したことで三谷に協力を求め、企画がスタートした。今作では、セントヘレナ島に島流しとなった英雄・ナポレオンの死の真相が描かれる。
三谷脚本のNHK大河ドラマ「新選組!」で野田が勝海舟を演じて以来、親交を温めてきた2人。三谷は「そのときから役者・野田秀樹に魅力を感じ、舞台で僕の描いたセリフを言ってほしいと思っていた」と明かす。「ふだん(野田が)自分の芝居でやられないような世界をやりたかった」といい、色々なアイデアを考えたうえで最終的にナポレオンを選択。「野田さんのことをそこまで知っているわけじゃないんですが」と前置きし、「若干こじんまりしていて、せっかちで物を食べるときにやたらこぼす(笑)」と史実として伝えられるナポレオン像と重なるところを明かした。
すでに脚本の3分の1ほどに目を通したという野田は、「明らかにアテ書きになっているなと思う」と語る。「三谷さんが私をどのように思っていたのかをしみじみと実感しています。『申し訳なかったな』『いやな思いをさせていたんだな』と思うくらい、いやなヤツに描かれています(笑)。『エラくなり過ぎて周りで(忠告を)言ってくれるヤツがいない』という内容のセリフがあり、そういうヤツなのかな? と反省するところが多いです」と皮肉たっぷりに語り、笑いを誘っていた。
三谷は、「(演劇界の)“二大○○”みたいな書かれ方をされていますが、とんでもない! 僕にとっては学生の頃からのあこがれの大先輩」と謙遜してみせたが、一方では対抗意識も持っていた様子。「周りはみんな『野田だ!』と言っていたので、僕は絶対に見に行くのをやめようと思っていた。別れた奥さん(小林聡美)が出演した作品(『オイル』)で初めて見ました。と言いつつDVDはちょっと見たり……」と複雑な心境を吐露する。
一方、自分の作・演出以外の芝居への出演はほぼ初めてという野田は、三谷に演出されることについて「いままで知らなかった役者の気持ちを思い知るんだろうという気持ち。違う目線で見られるだろうし、この年でこういう場をいただき感謝しています」と語った。三谷は、「ぶつかることはない。勝新さんと黒澤さんみたいにはならない」と語るが、内野は2人が稽古場であいまみえることに「ケンカになったら嫌だなという気持ちです(笑)」。一方で両者の舞台に出演経験のある天海は、「けしかけます!」とニヤリ。山本も「作品と同じくらい稽古が面白いのではないかと楽しみです」と期待を口にした。
脚本は現在も執筆中だが、劇中でナポレオンが迎える結末は「殺されます。ここにいる誰かが犯人」と暴露してみせた三谷。まだ完成稿を読んでいないキャスト陣も一様に驚いていたが、三谷は「歴史に残る作品にしたい」と自信をのぞかせていた。
「おのれナポレオン」は4月9日から5月12日まで東京芸術劇場で上演。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。