チリの女流監督が少女の視点で見つめた、崩壊する家族の姿とは
2012年10月28日 13:30

[映画.com ニュース] 第41回ロッテルダム映画祭で作品賞を受賞した、チリ・オランダの合作「木曜から日曜まで」が、第25回東京国際映画祭のワールド・シネマ部門で正式上映された。チリの女流監督ドミンガ・ソトマイヨールは、思春期に差しかかった少女の視点を通し、家族が壊れていく過程を繊細に見つめている。同映画祭で来日したソトマイヨール監督に話を聞いた。
これまで「Cessna」(2005)、「November」(07)などの短編作品で、家族や日常生活に焦点を当ててきたソトマイヨール監督。古い家族旅行の写真を発見したことをきっかけに、今作では「子どもの視点で見る両親の別れ」を描く。「車のなかで閉じこもり緊張感を持った大人と、自由気ままな子どもたちのコントラストが面白いと思ったんです」と独特の着眼点を語る。
ソトマイヨール監督は、今作を「互いにコミュニケーションを取らないところが、とてもチリっぽい」と説明。一方で、国境を超えて人々に訴えかける魅力を「車という閉ざされた空間で旅行をする家族の姿が、小さいころの自分の思い出とつながるのかもしれません」と分析した。

“旅”には「日常からかけ離れることで、問題の深い部分や自分自身と向き合うことができる」側面があると持論を展開。「別れそのものではなく、先入観のない子どもがどのように両親の別れを受け止めていくのか」を描くため、思春期に達した主人公の少女ルシーアが、“旅”のなかで世界への失望と直面する姿を映し出す。観客は、ルシーアの目を通して物語をたどることで、少女と同化して家族の行く末を追っていくことになる。
ルシーアを演じたサンティ・アウマダら子役は、今作に出演するまでほとんど演技経験がなかった。「自然な演技」「状況に対する反応」を引き出すため、経験の少ない子役を選んだが、思いがけぬ子どもの反応に「大人からも特別な反応を引き出すことができた」と相乗効果を生み出すことにも成功した。
また、キャスティングに加え、カメラワークにもこだわりを見せる。「撮影のシステムを構築したかった」と振り返り、「車という限定された空間では、同じフレームを使うことになります。そのなかで家族が崩壊していく様子を描くことで、同じはずの登場人物がまるで違った見え方をするんです」と語る。さらに、「車のなかから視点を外さない」ことを意識することで「(この家族を)『自分たちがどんなに小さな存在であるか』『風景の一員でしかない』ということにたどり着かせたかった。この作品ははっきりしたメッセージはないけれど、人は他人を自分のものにしたいという所有欲があるけれど、結局は独立した孤独な人間であることを示したかった」と真しな眼差(まなざ)しをのぞかせた。
それでも、散り散りになった家族が再び集まるラストシーンは「この旅行が最後の旅ではないかもしれないと思わせたかった。みんながひとつに集まることで、両親は別れてしまってもいつか再会があるのではないか」と“ソトマイヨール”流の希望を託した。
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