日系史をひも解くドキュメンタリー「二つの祖国で」がTIFFで上映
2012年10月24日 21:30
[映画.com ニュース] 太平洋戦争時下の日系2世たちの姿を描いたドキュメンタリー「二つの祖国で 日系陸軍情報部」が10月24日、開催中の第25回東京国際映画祭の「日本橋で日本映画を見よう」部門で上映され、すずきじゅんいち監督と来日した元MIS兵士のハーバート・ヤナムラ氏がトークイベントを行った。
米国陸軍の秘密情報機関「MIS(ミリタリーインテリジェンスサービス)」の中心メンバーだった日系2世の元兵士たちの証言をもとに、米国籍をもちながらも日米両国で差別を受けていた日系2世たちの苦悩や、2つの祖国への思いに迫る。
第2次世界大戦時の日系史を取材してきたすずき監督にとって、本作は日系史映画3部作の最終作となり、「2007年頃から『東洋宮武が覗いた時代』をつくり始めたけど、その頃日本では日系人のことに興味をもってもらえなかった。それが2年後の『442日系部隊 アメリカ史上最強の陸軍』の後にはテレビ番組やドラマも増え、第2次世界大戦や日系人に対する興味が上がったと感じた」と実感を語った。ヤナムラ氏は、「ハワイで4月に公開された時に拝見した。今日もその時と似たような気持ちで見たけれど、2回目だから作品の目的を如実に感じられた。すずきさんの人間性の素晴らしさと、この映画がどれだけ多くのことをもたらしてくれたか改めて考えさせられた」と感謝の意を述べていた。
すずき監督は、「およそ80人にインタビューして500時間くらいの映像があった。戦場の話はしたくないという方も多いけれど、これまでも僕が日系史の映画を作っていたので安心なさってくれたのか、フランクに自由に話していただけた。同じ仲間の端っこに入れてくれたのかな」と誠実な取材が実を結んだ。ヤナムラ氏はすずき監督の前作に感銘を受けていたといい、「どれほど日系人が2つの祖国に貢献したかを描こうという強い情熱に心を打たれた。なので、できる限りの協力をしたいと思ったし、話すことに何の迷いもなかった」と語った。
さらにすずき監督は、「日系人は文化も発想も異なる日本とアメリカのコミュニケーションの中間に立っていた人。彼らのおかげで順調な復興ができた。イラン、イラク、アフガンなどの戦後がうまくいっていないのは、日系人のようにお互いを理解し、意見を尊重して間に立つ人がいないから」と現在の中東情勢を危惧していた。
「二つの祖国で 日系陸軍情報部」は12月8日より公開。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド
【この最新作を観るべきか?】独自調査で判明、新「アベンジャーズ」と関係するかもしれない6の事件
提供:ディズニー
セプテンバー5
【“史上最悪”の事件を、全世界に生放送】本当に放送していいのか…!?不適切報道か否か?衝撃実話
提供:東和ピクチャーズ
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
【死を迎える時、どんな最期を選びますか?】“人生の終わり”と“生きる喜び”描く、珠玉の衝撃作
提供:ワーナー・ブラザース映画
君の忘れ方
【結婚間近の恋人が、事故で死んだ】大切な人を失った悲しみと、どう向き合えばいいのか?
提供:ラビットハウス
海の沈黙
【命を燃やす“狂気めいた演技”に、言葉を失う】鬼気迫る、直視できない壮絶さに、我を忘れる
提供:JCOM株式会社
サンセット・サンライズ
【面白さハンパねえ!】菅田将暉×岸善幸監督×宮藤官九郎! 抱腹絶倒、空腹爆裂の激推し作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
開始20分で“涙腺決壊”
【激しく、心を揺さぶる超良作だった…!】脳がバグる映像美、極限の臨場感にド肝を抜かれる!
提供:ディズニー