為末大&カトパン、「JAPAN IN A DAY」監督らと3・11ディスカッション
2012年10月22日 20:00
[映画.com ニュース] 東京・六本木で開催中の第25回東京国際映画祭で、特別オープニング作品として上映された「JAPAN IN A DAY ジャパン イン ア デイ」が10月22日、“東北連携プロジェクト”として東北会場(東北大学青葉山キャンパス)と東京会場(六本木ヒルズ)をつなぎ、パネルディスカッションを行った。東京側のパネリストにフィリップ・マーティン監督と成田岳監督、元陸上選手の為末大氏、フジテレビアナウンサーの加藤綾子らが参加し、東北側パネリストと震災復興に向けて熱い意見交換を交わした。
東日本大震災から1年後の2012年3月11日の映像をつのり、日本を中心とした世界12カ国からYouTubeを通して寄せられた約8000件、総尺300時間に及ぶ映像を1本の映画に編集したソーシャルネットワーク・ムービー。プロポーズや出産、子どもたちのありふれた日常風景や、3・11に思いを馳せる人々の姿を紡いだ。
マーティン監督は、「あれから1年経ったけれど、過去だけを振り返る作品にはしたくなかった。寄せられた映像にはエネルギーや情熱や希望があったので、それらを映画に反映させたかった。視線は未来にある、そういう映画に仕上がっているとうれしい」と語った。成田監督も、「こういう映画でなければいけないという先入観をなくし、興味がないから捨てるではなく、自分たちがどう引っかかっていくかというのを判断基準に映像を組み立てていった。どんな受け取り方をされても良いと思うし、話し合いのきっかけになればいい」と語りかけた。
スポーツを通じて被災地復興に尽力してきた為末氏は、「スポーツ選手ってドキュメンタリーを撮られることがよくあるけれど、そこには少なくとも製作側の意図がある。この映画にはそれがある意味コントロールできないところがあって、だからこそ訴えてくるものがある」と分析。また、「震災当時アメリカにいて、被害者の数を数字で聞いても感情ではうまく理解できなかったけれど、日本に帰ってきてひとりひとりの日常を聞くとその重さが伝わってきた。この映画はそのときの実感に似ていた」と感想を述べた。報道で被災地を訪問した加藤も「皆さんの表情を見て、私が分かったことを言うのは失礼じゃないかと。つらい話を聞くだけ聞いて東京に帰るということにも葛藤(かっとう)がすごくあって、自分に何ができるんだろうと真剣に考えた時期だった」と当時の心境を明かした。
東北側のパネリストで、製作総指揮を務めるリドリー・スコットに企画を提案した早川敬之プロデューサーは、「『LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語』を見て非常に感激した。リドリーに『やってみない?』とメールを送ったら、リドリーも『それは面白い』と。映画祭のテーマである“映画の力”とは“話す力”だと思う。新たな対話によってあらゆるイノベーションが拡大していく」と熱弁をふるっていた。
「JAPAN IN A DAY ジャパン イン ア デイ」は、11月3日より公開。
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