秋吉久美子、銀座シネパトス最後の映画で初の夫婦共演
2012年9月18日 16:47

[映画.com ニュース] 2013年3月末での閉館が決定している銀座シネパトスの閉館作品として、同劇場を舞台に製作される「インターミッション」のクランクインに先立ち9月18日、同館に近い東京・築地の波除稲荷神社でお祓いが行われ、メガホンをとる映画評論家の樋口尚文氏、鈴木伸英支配人、キャストの森下くるみらが出席した。お祓いに先駆けて本作への出演者が発表されたが、すでに出演が明らかになっている秋吉久美子に加え、秋吉の夫の小野寺・グレン・光が出演することも決定。夫婦そろっての映画出演はこれが初めてとなる。
銀座シネパトスは銀座唯一の名画座として長く親しまれてきたが、東日本大震災の発生を受けて耐震性の見直しが行われ、やむなく取り壊されることになった。樋口監督が親交の深い鈴木支配人と相談し、「普通はしみじみと“さよなら興行”で終わるところですが、それもシャクなので、映画で震災や暗い感じを吹き飛ばせないか?」(樋口監督)と私費を投じて本作を撮影するに至った。
鈴木支配人は「こういう日が来るとは思っていなかった」と閉館への無念をにじませながらも、「明るく楽しく見送りたい。ファンや映画人のみなさんと一緒に映画を作れるのは奇跡。シネパトスは幸せだなと思います」と前を向く。撮影を間近に控える樋口監督は、「明るく激しくね」と豪快に笑う。
この日、秋吉をはじめ染谷将太、香川京子、小山明子、竹中直人、佐野史郎、佐伯日菜子ら、そうそうたる出演陣が明らかになったが、樋口監督は「撮影所のスターからインディ系のホープまで混在する、日本映画ではあり得ないキャスト。全員が友情出演でボランティアに近い(笑)。面白いことをしようという映画愛があり、震災で映画文化がなくなることに対して、ここでひと肌脱いで応援しようと共鳴して集まってくれました」と感慨深げ。「シナリオもなく、役柄も分からないうちに10分くらい話しただけでみなさん『やる』と即決してくれた。全員アテ書きです」と明かす。
森下は、キャスト陣の中に名を連ねることについて「私の女優としての立ち位置は奇妙ですし、おそれ多かったです」と恐縮しつつも、「私たちの世代の新しさを知ってほしい」と意気込みを明かす。
気になる映画の内容だが、樋口監督によれば「好きなものだらけのパフェのような映画」だという。「バランスゼロの相当ぶっ壊れた映画になります。メロドラマにヤクザもの、ホラーにヌーベルバーグも入っていて、シナリオを読んだ人はみんなびっくりすると思う」と語る。森下自身、お祓いに参加したものの、脚本はこれから手渡されるそうで「ハラハラしますが、そういう目に遭わせてくれる監督もいないですからね」と期待を口にする。現状では“夢の女”クルミという設定だけが明らかになっているが、樋口監督は「森下さんのパートはかなり面白いです。ひとつだけヒントを言うなら、(フェデリコ・)フェリーニの映画へのオマージュを捧げています」と不敵な笑みを浮かべていた。
「インターミッション」は、9月23日から同館でクランクイン予定。エキストラも募集中。13年2月23日から同館で限定公開。
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