織田裕二、青島俊作として伝えたい最後のメッセージ
2012年9月7日 07:00

[映画.com ニュース] スピンオフを含む、劇場版5作の累計観客動員約3127万人、興行収入約427億9000万円という金字塔を打ち立ててきた「踊る大捜査線」シリーズが、「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」をもって完結を迎える。15年間にわたり“青島俊作”として先頭を走り続け、座長としての役割を十二分に果たしてきた織田裕二が、シリーズを通じて伝えたかったこととは何だったのかを語った。
織田は今回、完結編製作に際し、これまでのシリーズ全作を見直したそうで「気になったセリフとかを、台本の余白に書いておいたんです。最後ということもあって、初心に戻って最初から見てみたわけです。こうやって話すことで思い出すこともありますしね」と穏やかに笑う。しかしそれは、ドラマの1話から最終回までのダイジェストを語り尽くすほどで、「踊る」シリーズにどれほどの熱量を注いできたかが容易にうかがえる。
8月23日に行われた完成披露試写会では、約4000人のファンの前で涙を堪えきれなくなったが、撮影中は「ないっすよ(笑)」と即答。何度か泣かされそうになったことはあったそうで、「撮影最終日にスタッフひとりひとりが花を一輪ずつくれて、最後には持ちきれないほどの花束になったんです。やばかったですね。でも、深津絵里さんが横にいて、泣けないですよ。日本男児ですから」と述懐する。
映画では、警察が押収した拳銃を使った連続殺人事件が発生する。捜査の過程で、青島はある嫌疑をかけられるだけでなく、辞職勧告がくだされ警察手帳を奪われてしまう。さらに、室井(柳葉敏郎)までもが組織の大きなうねりにのみ込まれ、職を解かれようとしていた。そんな状況下でも、ふたりは仲間たちと懸命に捜査を続けるが、それをあざ笑うかのごとく真下(ユースケ・サンタマリア)の息子が誘拐されてしまう。
ドラマシリーズからのファンはもちろん、“踊る初心者”も堪能することができる展開が用意されている。青島が伝えたいメッセージは終始一貫しており、決してブレることはない。連ドラ最終回で、青島は練馬警察署地域課へ降格処分となり、桜交番に勤務している。「100円玉を拾った少年が届けに来るわけですが、その子に自分の財布から100円を出して、『正しいことをするといいことがある』と書いた紙とともに渡すんです。超法規的措置だとか、訳の分からないことを言うんですが(笑)、この言葉に集約されているというか、これが青島の基本なんじゃないですかね」。
青島は15年間にわたり、正しいことをするためだけに、とにかく奔走する。出世欲はまるでなく、常に市民の安全を最優先に考え、どのような局面に立たされても自らの信念を曲げることはない。であるのにもかかわらず、警視庁一の問題児といわれてしまう。なぜなのか? それは、警察官になったときの初心を忘れてしまっている警察官が、あまりにも多いからにほかならない。
メガホンをとった本広克行監督は、クライマックスのシーンに脚本にはなかった青島のスピーチを付け加えた。織田は、「そのスピーチによって『踊る』が言いたかったこと、青島のメッセージというのは、より分かりやすくなったかなと思います。15年経って、ファイナルでようやく青島と室井、和久さんたちがやりたかったことがスタートするんですから。単にスタートしただけなので問題はいっぱい出てくるでしょうが、新たな希望がちょっと見えてきたことは確か」と笑みを浮かべた。
常にファンが楽しんでくれることに重きを置いてきた織田だけに、報じる側も「次は何をやるんだろう」と、その動向から目を離すことができない。「踊る」シリーズを“部活”にたとえ、「ひとつの部活が終わったような感覚があるんです。卒業なのか廃部なのかわからないけど、今度は社会人になって会社に新たな部活を立ち上げるのか、プロにスカウトされるのか……。なんか、そんな心境なんですよね」と清々しい眼差(まなざ)しを向けてくる。そして、「人生として考えればまだまだ半分。今からでも、すぐに次の作品へいきたいんですよ。そのひとつひとつを『踊る』以上のものにしたいと思っています。現実的に考えれば、こんな風にうまくいく機会ってそう簡単でないことも分かっています。ただ、やるからには絶対に『踊る』を超えてやるんだ! という思いでいますよ」と真摯な口調で打ち明けた。
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