ベネチア映画祭、コンペ注目2作が登場 評価は明暗わける
2012年9月4日 14:45
[映画.com ニュース] 第69回ベネチア国際映画祭の5日目を迎えた9月2日(現地時間)、テレンス・マリックの注目作「To the Wonder」が上映され、賛否を分けるリアクションを巻き起こした。公式上映、プレス上映、一般向け追加上映のどの回も双方の反応が見られ、好き嫌いを明確に分ける形となった。
物語は、フランスとアメリカの両大陸にまたがる。パリに住む女性が、アメリカ人の恋人のもとに引っ越し新生活を始めるが、やがてすれ違いが生じる。とはいえ、明確なストーリー・ラインがあるわけではなく、音楽的ともいえる流麗な映像スタイルは、前作「ツリー・オブ・ライフ」と同様だ。説明的なディテールをいっさい省き、別離と再会が繰り返されるカップルの姿を通して愛を謳った点に共感できるか、あるいは“気取り”と映り、入り込めないかによって評価が分かれたようだ。ベン・アフレックとハビエル・バルデムという意外なスターのチョイスは、役どころを十分生かしきれているとは言いがたく、説得力に欠ける形となった。
一方、1日早く上映になったもう1本の期待作「ザ・マスター(原題)」は、すでにオスカーの呼び声もあがるほど高い評価を浴びた。「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・トーマス・アンダーソンが50年代のアメリカを舞台に、心に傷を負った復員兵士がカルト的な宗教団体と出合い感化されていく様子を描く。
アンダーソン監督は、会見でサイエントロジーを参考にしながらも特定団体についての映画ではないことを強調。宗教そのものよりも、人間の弱さや指導者と弟子という人間関係などを描いたことを語った。また、インターネットで話題になっているトム・クルーズの反応については「彼には映画を見せたけれど、それについて話すつもりはない。いまでも友人だよ(笑)」と答えた。元兵士役のホアキン・フェニックスと宗教団体の“マスター”を演じたフィリップ・シーモア・ホフマンの火花散る共演はとくに見応えあふれるものになっている。(佐藤久理子)
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ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
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