パレスチナ人密告者一家の生活描くドキュメンタリー公開 イスラエルから監督が来日
2012年8月26日 17:00

[映画.com ニュース] 山形国際ドキュメンタリー映画祭2011の上映作を中心に世界101カ国、1078本の応募作品から選ばれた作品を上映する「ドキュメンタリー・ドリームショー 山形in東京2012」の開催にあたり、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011で大賞を受賞した「密告者とその家族」のルーシー・シャツ監督がイスラエルから来日し、作品とその背景を語った。
シャツ監督が、パートナーのアディ・バラシュと共同でメガホンをとった本作は、イスラエルへ情報を流していたパレスチナ人が、国を売った裏切り者としてパレスチナを追われ、家族とテルアビブに移住。協力者であった主人公一家に対し、イスラエル当局は正式な滞在許可や満足な社会保障を与えることはせず、厳しい生活を余儀なくされる一家の日々と不安を映し出す。
テルアビブのストリートで売春をしながら生活するパレスチナ青年たちを追った前作「ガーデン」(05)の撮影中に密告者の子どもに出会い、主人公一家を紹介されたことが本作製作のきっかけだ。「これこそ、映画にすべきテーマだと思ったのです。密告者の子どもたちは当局によって、押しやられ、無視されてきました。彼らに会うことによって、これがいかに大きな社会現象なのか気付いたのです」。
主人公のイブラヒムは、パレスチナ自治政府が置かれる以前から自身のイデオロギーを理由にイスラエルの手助けをしてきた。公式の発表では現在数千、実際はそれを上回る数の密告者が存在するそうだが、主人公のように思想的理由から密告者になる人は減っており、近年は金や医療サービスなど生活の利益のために情報提供者になる人が多いという。

イスラエルの裏切りにより、社会の底辺とも言えるほど困難な状況で生きる一家。撮影の承諾を得るのは難しかったのではないかと問うと、意外にもすんなりと許可が下りたという。「彼らは既に心の準備ができていたと思います。どこかで、誰かに耳を傾けてほしいという気持ちになっていたのでしょう」。
たび重なる事件や家族同士のやり取りを通し、主人公一家の不安や本音を見事に引き出している。「撮影で最も心がけている手法は正直であること、そして直接的に対話することです。また、被写体の皆さんにも誠実に、正直になってもらわないと自分たち作り手にも、観客にもあなたたちの本当の姿は映らないのだと言うことを説明しています」と語る。
2年近くを費やした撮影で、一番困難だったのは「状況が悪化していく中を見守るしかできなかったこと」だという。「生き場のないような状況に追い込まれてしまっている一家に、私たちも何らかの手助けができないかと当局にかけあいましたが、追い返されるばかりでした。特に人権問題に該当する人々を取材する場合、自分たちの力が非常に限られているということを気付かされるのです。彼らを困難から完全に救い出すことはできないのです。それがドキュメンタリーの作り手の倫理的な問題点だと思います」。
バラシュ監督とともに精力的に作品を発表し続けているシャツ監督。「私にとって自分の映画作りに意味があることが重要なのです。長い時間をかけて作り上げる仕事なので、結果として、人を助けることができた、自分が人間として、作り手として良いことをした、そして人々が興味を持つようなことを伝えたということが、製作の原動力になっているのだと思います」と、真実を伝えるドキュメンタリー作家としての使命を語った。
「ドキュメンタリー・ドリームショー 山形in東京2012」は9月21日まで開催。「密告者とその家族」は、8月28日オーディトリウム渋谷、9月7、12日ポレポレ東中野で上映。
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