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男女の永遠の愛は存在しない!? S・ポーリー「テイク・ディス・ワルツ」は仏教の影響受けたと語る

2012年8月10日 22:00

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才色兼備の「テイク・ディス・ワルツ」サラ・ポーリー監督
才色兼備の「テイク・ディス・ワルツ」サラ・ポーリー監督 
(C) 2011 Joe’s Daughter Inc.All Rights Reserved

[映画.com ニュース] 女優サラ・ポーリーの長編第2作、ミシェル・ウィリアムズ主演の「テイク・ディス・ワルツ」が8月11日公開する。幸福な結婚生活を送りながらもどこか満たされない人妻の恋を描き、男女間に永遠の愛は存在するのかを問いかけるせつないラブストーリーだ。アカデミー賞脚色賞ノミネートなど高い評価を得た「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」に続き、5年ぶりにメガホンをとったポーリーが作品を語った。

結婚5年目を迎えるフリーライターのマーゴは、取材先で出会ったハンサムな青年ダニエル(ルーク・カービー)に心を動かされる。マーゴとチキン料理専門家の夫、ルー(セス・ローゲン)との間には子どもはおらず、親友や兄妹のような関係とも言えるような穏やかな関係が続いているが、マーゴは女性として結婚生活にもの足りなさ感じていた。

本作は恋愛のときめきだけでなく、日常の中でふとこみ上げてくる愛おしさ、さみしさ、悲しさといった多様な感情を繊細にすくい取っている。とりわけポーリーが掘り下げたかった感情は“むなしさ”だという。

「実は最初から恋愛をメインにしたストーリーを語ろうと思っていたわけではなく、私が描きたかったのは漠然と人生に満たされていない女性だった。そんな女性の感情を最も鮮明に表現するには、恋愛を物語の核にすべきだと考えたの。多くの女性は自分の物足りない部分を埋めるために恋愛を求め、恋に落ちさえすれば自分が満たされるはずだと思う。でも現実には、だんだん相手の嫌な部分が見えてきたりして恋愛への期待は裏切られ、最初は鮮やかに見えた世界が色あせてしまう。そんなむなしさという感情に興味があったの」

画像2(C) 2011 Joe’s Daughter Inc.All Rights Reserved

理性と欲望のはざまで揺れるマーゴを、ウィリアムズが好演している。互いにインディペンデント映画中心に活躍する者同士、今回のタッグはどのようなものだったのだろうか。

「ミシェルとは、仕事に対する考え方や姿勢、映画に求めるテイストが似ていると感じたわ。今回も、わざわざ1から説明しなくて通じ合う部分があった。女優としてのミシェルは、優れた演技力はもちろんのこと、リスクを恐れないところが素晴らしいの。撮影中に彼女は自分自身までが驚くほどの意外性を表現してみせたのよ。私はそれこそがグッド・アクターとグレート・アクターの違いだと思う。ミシェルは紛れもなくグレートな女優だったわ!」

次第にダニエルへの想いに自制がきかなくなっていくマーゴ。しかし、燃え上がるような恋愛のその先にあるものは……本作にはどこか東洋的な無常観のようなものが漂っている。

「5~6年前に仏教関係の本を読んで、とても感銘を受けたの。それ以来、私なりに仏教のコンセプトを学んだり、めい想に耽ってみたり、かなり入れ込んでいるのよ(笑)。人間というのは不安定な存在で、永遠に続くものは何もない。物事はつねに変化し、そこには“無”や“空虚”といったものがある。しかしそのことに抗わず、それも人生の一部なのだと受け入れることで生活が豊かになっていく……。このような仏教的な考え方にインスピレーションを受けて、今回の物語が出来上がったといっても過言ではないし、実際この映画のベースになっていると思うわ」

女性らしい繊細な感性で、平穏ではあるもののありきたりな結婚生活にとらわれる女性のジレンマを見事に描き出したポーリー。男女の永遠のテーマ“愛”について深く考えさせられる本作を、ウィリアムズのみずみずしい演技とともに堪能してほしい。

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