「さらば復讐の狼たちよ」中国映画の革命児チアン・ウェン監督が語る
2012年7月5日 20:45
[映画.com ニュース] 1920年代、辛亥革命直後の中国を舞台に、暴力と金で都市を支配する権力者に立ち向かうギャングの姿を描く「さらば復讐の狼たちよ」が7月6日公開する。中国の革命史をなぞり、社会を鋭く風刺していることが話題を呼び、国内での累計興行収入約80億円を突破、歴代興収の記録を塗り替えた。中国映画の革命児と言えるチアン・ウェン監督が作品について語った。
「県知事になれば金もうけできる」と聞きつけたギャングのチャンは、知事になりすまし街へ赴任。しかし、向かった先はいたるところで暴力がはびこり、人身売買と麻薬の取引で荒稼ぎする独裁者ホアンに牛耳られていた。ホアンによって義理の息子を自害に追い込まれたチャンは、ホアンを倒すため6人の仲間とともに決起。7人は民衆を巻き込み、歴史を動かす戦いを引き起こす。
国際的に活躍するチョウ・ユンファがホアン、チアン監督がチャンに扮し、グォ・ヨウ、カリーナ・ラウ、チェン・クン、フー・ジュン、チョウ・ユンらが共演。音楽は久石譲が担当した。
俳優としても名高いチアン監督、本作では監督と出演を兼ねた。「今では自分で書き、自分で監督し、自分で演じることに慣れちゃっているんだ。もちろん、条件さえ合えば、別の人の映画に出るのもやぶさかではない。去年は曹操も演じたしね」と話し、共演したチョウ・ユンファ、グォ・ヨウを「素晴らしかったよ。プロの役者ほど仕事に対して責任感があるから、一緒にやりやすいものなんだ」と絶賛する。
「20年代は中国で最も外国と中国のものが入り混じった時」だといい、衣装や小道具など、時代の設定にこだわった。和太鼓も登場するが、その理由について日本人には興味深い話を披露する。
「20年代の中国は中洋折衷が多かったと言ったが、洋には西洋も東洋も入る。中国は東洋、つまり、日本の大きな影響を受け、西洋の物の多くも日本を経て伝わってきたんだ。その点を日本人は意識しているかどうか知らないが、中国は日本のものをたくさん取り入れてきたのさ。だから、日本のものが社会の中でも、ごく普通にあったんだ。日本は漢字を使うから、日本から単語を輸入したって西洋からの輸入ほど特別な感じもしなかった。実は中国の観客の多くはあれが日本の太鼓だとは気づかなかった。若い人ほどそうだった。日本のものとは意識しないんだ。これは20年代もそうだったのじゃないかと思うよ」。
無法者たちが主人公のプロットは黒澤明監督の「七人の侍」に似ている、との指摘もあるが、特別に意識をしていたのだろうか。「チャンと弟分とで合わせて7人だから、それでそう思ったのでは? 実際は『七人の侍』とはあまり関係はないよ。『七人の侍』は盗賊と闘う話だろう? チャンたちは自分たちが盗賊なんだぜ」とあくまでオリジナルの設定であると強調する。
最後に、中国で映画を撮ることの難しさや利点について問うと、「利点は人が多いことだ。映画館も多い。しかも、ますます増えている。それ以外はすべてマイナス要因だ」と迷いもなく答えた。
「さらば復讐の狼たちよ」はTOHOシネマズ六本木ヒルズほかで7月6日公開。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。