「誰も知らない基地のこと」伊若手監督が米軍基地の実情に迫る
2012年4月9日 19:30

[映画.com ニュース] 沖縄返還から40年を迎える2012年、米軍基地は未だ日本に存在し続ける。それらの実態を、ドキュメンタリー「誰も知らない基地のこと」は克明に記録している。イタリアの若手監督エンリコ・パレンティとトーマス・ファツィは、2007年に地元で起きた基地拡大への反対運動をきっかけに、世界の米軍基地の調査を開始した。「戦争をなくすためには、基地をなくすことを考えなくてはならない」と訴える2人が、基地問題に揺れる日本で思いを語った。
映画ではピチェンツァ(イタリア)、ディエゴ・ガルシア(インド洋)、普天間(沖縄)を主な取材地とし、基地の騒音問題、兵士が起こす事件・事故に苦しむ住民の姿を映し出す。横暴な米兵と、ふくらみ続ける軍産複合体の真実を、専門家や軍関係者へのインタビューと共に明らかにしていく。
世界40カ国700カ所以上の中から、“問題が集約されている場所”を取材地に選んだと明かすパレンティ監督。しかし普天間は、世界中他に類を見ないほど特異なケースだと驚きを口にする。「都市のど真ん中に基地が固まっていることにショックを受けました。ヨーロッパの都市に作られた基地でさえ、中心からは600~700km離れているのに、普天間は実に人口密度の高い場所にある。様々な問題があるのは明白でした」

「日本に他国の基地があること自体馬鹿げたこと」と指摘するのはファツィ監督。「2004年に大学構内にヘリが墜落しましたが、同じような事故はいつ再発してもおかしくない。ひょっとしたら日本人は基地が市街地にある光景を見慣れてしまっているかもしれないが、我々からすれば、非常におかしなことなのです」
しかし遅々として進まない日本の基地問題。普天間という横暴な基地政策に対する住民の態度について、ファツィ監督は独自の見解を示す。「荒々しく声を上げる訳ではない、沖縄の方々の姿勢は外の国にとってすごくいい例だと感じています。声を上げれば瞬間的に注目を浴びるかもしれませんが、成果とは別問題。長期的な視点で考えた場合、ああいう態度を継続することこそが、結果を結ぶのだと考えています」
継続が強い力を生む、とパレンティ監督も強調する。「毎日の生活で反対運動をすることに意味がある。政治的な意味とは別の、レジスタンスを示すことは重要だと思います」
映画は各国で上映され、反響を呼んでいる。日々届く声に、手応えを感じている様子のファツィ監督は「今まで戦争ドキュンタリーや、反対運動に焦点を当てた作品は数多くありました。しかし基地問題は、それらのある種メイキングのようなもの。戦争の前後に大きな役割を果たすのは、他でもない基地です。そこにスポットライトを当てたことは、この作品の極めて特徴的な点なのです」と、作品の存在意義を改めて言葉にする。
パレンティ監督も熱を込める。「日本に限らず若い世代が基地問題に興味をなくす風潮がある。しかし例えば20年後、影響力のある地位に着くであろう私達若い世代が、行動を起こし始めるべき時が今なのだと感じています」
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