松ケン「人生豊かにしてくれた」森田監督に感謝の意
2012年3月24日 13:03
[映画.com ニュース] 俳優の松山ケンイチが3月24日、全国204スクリーンで封切られた主演作「僕達急行 A列車で行こう」の初日舞台挨拶を東京・渋谷TOEIで行った。昨年12月に61歳の若さで急逝した森田芳光監督の遺作。松山は「今日、監督がここにいてくれたらと思うと残念ですが、大切なメッセージとエールがこめられている」と感慨深げだった。
生前の森田監督は「とにかく人が好きで、人とのコミュニケーションを楽しんでいた。僕自身は田舎者なので(笑)、人付き合いをおっくうに思うタイプだったが、監督と出会って、人との出会いが人生をより豊かに、キラキラしたものにしてくれると教えてくれた」とあふれる感謝を抑えきれずにいた。
“鉄ちゃん”と呼ばれる鉄道オタクの青年2人を主人公に描く青春コメディ。大手企業に勤めるマイペース男子・小町(松山)と、経営危機を迎えつつある実家の鉄工所勤務の小玉(瑛太)が共通の趣味である鉄道を通じて出会い、周囲に幸せの輪を広げていく。
森田監督が10数年の構想を経て、鉄道へのこだわりを貫いた作品で「幅広い方に見てもらえる作品だし、幅広いジャンルの作品を作り続けた監督の、ある意味、原点といえる作風」(松山)。「椿三十郎」「サウスバウンド」(ともに2007)に続き3度目のタッグで、「毎回、監督が求める高いハードルに追いつくことで精一杯だった。正直『まだ次がある』と思っていたし、まさかこんなに早く亡くなられるなんて」と無念そうな表情も。それでも「今日いらっしゃった皆さんが、スッキリしたお顔をしているので、(監督の思いが)伝わったんだと思うと幸せ」と感無量の面持ちだった。
舞台挨拶には共演する貫地谷しほり、村川絵梨も登壇し「森田監督からは『何かが違う』とダメ出しの連続だったが、ふだん物事をあまり深く考えない私にとっては『いったい何がいけないんだろう』と自問自答する環境を作っていただき、今は幸せな気持ち」(貫地谷)、「ありがとうと言うのもおこがましいが、わずかなセリフを通して人生観を考えさせられた。今日で作品が旅立つのは正直さみしい気がする」(村川)と森田監督への思いを語っていた。