M・スコセッシ監督「映画がなくなることはない」5年ぶり来日会見で堂々宣言
2012年2月16日 14:48
[映画.com ニュース] ハリウッドを代表する名匠、マーティン・スコセッシ監督が2月16日、都内のホテルで会見した。第84回アカデミー賞で作品賞、監督賞をはじめ最多11部門にノミネートされた最新作「ヒューゴの不思議な発明」を引っさげ、約5年ぶりの来日。「映画に初めて出合ったころのピュアな衝動がベースになっている。私にとっては、とてもパーソナルで特別な作品」とアピール。3D技術の発達や、ネット配信といった新たな配給環境の整備など、映画を取り巻く環境が大きく変わるなかで「それでも映画がなくなることはない」と宣言し、駆けつけた約350人のプレス関係者も拍手喝さいだ。
世界的なベストセラーとなったブライアン・セルズニックの冒険ファンタジー小説を、スコセッシ監督初となる3Dで実写映画化。1930年代の仏パリを舞台に、亡父が残した機械人形とともに駅の時計塔にひとり暮らす少年ヒューゴと、栄光を極めながら今は雑貨屋を営む元映画監督の老人ジョルジュが“映画”という共通の夢を通し心通わせる姿が、スコセッシ監督自身の映画愛を投影しながら、ハートウォーミングに描かれる。
スコセッシ監督は、病弱だった少年時代を振り返り「父親と映画を見に行ったことを今も覚えている。映画を通して、父や家族とのきずなが深まったといえる。ヒューゴは僕かって? 最初は意識しなかったが、きっと幼い頃の思い出は、ヒューゴに反映されていると思う」。現在、12歳の娘をもち「彼女の思考や友人たちの行動に影響を受けた。原作を読んだ妻から『一度でいいから、娘のための映画を撮ったら?』とも言われたしね(笑)」と本作が生まれた理由の一端を語った。
第84回アカデミー賞で作品賞、監督賞をはじめ、脚色賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣装賞、作曲賞、録音賞、音響編集賞、視覚効果賞の計11部門にノミネート。また、第69回ゴールデン・グローブ賞では最優秀監督賞を受賞している。それでも「私は“本当の監督”ではないと思う。本物の監督は、どんなテーマ、どんなジャンルを選んでもうまく映画を撮りあげることができるはず。私にそれはできないからね」と持論を展開した。
会見には女優の小雪がゲストとして登壇。1月に第1子となる男児を出産以来、初めて公の場に姿を現し「すべてが完ぺき。3Dによってキャラクターと物語に奥行きが与えられた。すべての世代が楽しめるので、現実を忘れて、魔法の世界に陶酔してもられば」と本作を絶賛。スコセッシ監督も「最初は子ども向けになってしまわないか気になった。でも完成した作品は、7歳から108歳まで楽しんでもらえるはず」と上機嫌だった。
「ヒューゴの不思議な発明」は、3月1日から全国で公開。