サルトルとボーボワールの伝記映画が公開「若い世代に見てほしい」
2011年11月25日 12:11

[映画.com ニュース] 20世紀を代表するフランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルとシモーヌ・ド・ボーボワール。事実婚カップルのはしりとしても知られるふたりの関係を映画化した「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」が11月26日公開する。このほど来日したイラン・デュラン=コーエン監督に話を聞いた。
1929年にパリ大学で運命的な恋に落ちたふたりの青春時代から、作家、哲学者として成功を収めていく30~40年代を描く。「シャネル&ストラヴィンスキー」のアナ・ムグラリスがボーボワールを、フランスの映画、演劇界で活躍するロラン・ドイチェがサルトルを演じた。
この世界的に有名なカップルが映像作品化されることは、フランスでも初めてだという。公開までには、ふたりの著作権の相続者たちとの紆余曲折があったと明かすが、そもそもこの偉大なカップルを映画化するということに気負いはなかったのだろうか?
「世界的に有名で、特にフランスにおいては知らない人がいない人物ですから、気負いというよりは恐れがありました。でも、その恐れをいい意味で活用しなければならないと思ったのです。役者に対して自由に演出をしようと考えました。ふたりの人生は放縦で普通ではないものですが、自由な精神というのはまさしくサルトルとボーボワールが抱いていたものですから」
サルトルは互いに愛し合いながらも、他の関係も認め合うという自由恋愛を提案する。ボーボワールは、女性に選択肢のない封建的な当時の社会、母親や女友達のたどった生き方に疑問を抱いており、その提案を受け入れる。そしてサルトルは順調に自身の名を世に広めていき、悪びれることなく数々の女性と関係を持つ。一方、ボーボワールの女性としての苦悩は尽きることはなかった。

「この神話的なカップルは、サルトルというよりもボーボワールが軸になっています。彼女はある意味犠牲者でした。犠牲に耐えたからこそ、神話的なカップルとして存在できたのです。彼女の人間性の深みに触れていくと、一見彼女は知的で、どちらかというと堅いイメージを与えますが、その裏にはものすごい苦悩があったり、傷を負っていました。でもそんな傷や葛藤があったからこそ、彼女の哲学が生まれたのであって、もしそれがなければ『第二の性』も生まれなかったでしょう」
サルトルからひどい仕打ちをうけても、別れを選ぶことはなかったボーボワール。本作では哲学者としての側面よりも、サルトルへの愛情、センチメンタルな感情的な部分を探れるように描いた。「この映画を若い世代に見てほしい、娯楽映画の一つとしての登場人物として身近に捉えてほしいのです」。
今回で5度目の来日となる。日本文化にも興味があり、なんと演歌ファンなのだという。「初めて来日した時に、ホテルの部屋で何気なくテレビを見ていたら、美空ひばりさんが出ていたんです。彼女の歌を聴いていたらなぜかものすごく胸が熱くなって、ノスタルジックな感動を覚えました。それから演歌に興味を持つようになって、氷川きよしさんなど若い歌手も聞くようになりました。フランスでは全く知られていないので残念ですが、ギヨームという役者に銀次郎という芸名をつけて、演歌を歌わせているんですよ(笑)」。
「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」は渋谷ユーロスペースで11月26日公開。
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