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庵野秀明「『ヱヴァ』はアニメでしか表現できない」

2011年8月30日 17:16

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(左から)庵野秀明、矢野顕子、平野勝之監督
(左から)庵野秀明、矢野顕子、平野勝之監督

[映画.com ニュース] シリーズ最新作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の2012年秋公開が発表されたばかりの庵野秀明が8月30日、実写映画を初プロデュースした「監督失格」の完成披露会見に出席。会場となった東京・六本木のビルボードライブ東京に、平野勝之監督、主題歌を手がける矢野顕子が顔をそろえるなか、「作品にはそれぞれ一番いい表現方法がある。『ヱヴァ』は頭の中のイメージを具現化するアニメでしか表現できないし、この作品はそこにあるものをありのままに切り取る実写のドキュメンタリーという形でしか成立しない」と力説した。

2005年に34歳で急逝した女優・林由美香さんを題材にしたドキュメンタリー。林さんの元恋人でもある平野監督が、「由美香」(1997)の素材を中心にふたりの運命的な関係性を再構築。さらに死亡当日、偶然回っていたビデオや、新たに撮影された映像を通して、自身の“喪失と再生”がえぐり出される。平野監督にとっては11年ぶりの新作だが、「本当は(林さんの死から)10年後、20年後に作ろうと考えていた。悩みもありましたが、作品が完成した今は、お葬式を終えたような感じ。もし由美香が生きていたら、『監督失格だね』とか言いながら、一番喜んでくれるはず」と複雑な心境を明かした。

一方の庵野は、「締め切りがある。スタッフがいる。プロデューサーがいちいち口を出す。平野さんにとっては初めてづくしで大変だったと思うが、これを超えれば次につながると思った。平野さんは『いじめられた』って言いますけど(笑)、今は完成しただけで感無量」。同じ作り手として「平野さんの我の強さ、自己愛の強さに勇気づけられた。ありがとうございました」と最敬礼だった。

矢野は主題歌「しあわせなバカタレ」を提供し、「映画を見て、何かお返しをしなければと思った。具体的に何に対してかはわからないが、そういう気持ちになった。ふたりがどういう気持ちでいたのか、音楽が寄り添うつもりで作った」。矢野の大ファンだという平野監督は「曲を聞いて、笑いながら泣きました……。最初から幸せというキーワードが頭にあったが、矢野さん自身の言葉がほしかったので、あえて伝えていなかった。そしたら、このタイトルでしょ。本当にびっくりしました」と話した。

監督失格」は、9月3日から東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで独占先行公開。

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