矢野顕子「監督失格」主題歌を書き下ろし 本予告も完成
2011年6月25日 06:00
[映画.com ニュース] 歌手の矢野顕子が、平野勝之監督の11年ぶりとなる新作「監督失格」の楽曲プロデュースを手がけていることがわかった。平野監督からの熱烈なオファーを快諾し、主題歌「しあわせなバカタレ」を書き下ろしたほか全6曲を制作。「音楽をつくるしかなかったのです。このふたりのために」と語る矢野が、音楽で映画に参加するのは「誰がために」(2005)以来、約6年ぶりとなる。
同作は、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの庵野秀明総監督にとって初の実写映画プロデュース。平野監督の元恋人で、05年に34歳という若さで急逝した女優の林由美香さんとかかわった15年間におよぶ記録と、新撮した映像で構成されたドキュメンタリー。
矢野は、オファーを受けた当初は「私には無理でしょうと思った」という。それでも、「マネージャーから『とにかく見てから決めてください』と強ーく言われましたので」と述懐。鑑賞後は、「私はこれに音楽をつけることによって、平野さん、由美香さん、そしてお母さんの気持ちに何かをお返しするしかないと思ったわけです」と強く心を揺さぶられた。
一方、平野監督は「ほかの人は考えられませんでした。矢野さんにお断りされたら音楽をつける気はありませんでした」と語る。それは、「常に当たり前のことを、常にみんなが普通に思っていることを、常にそのど真ん中を射抜いてくる矢野顕子さんの音楽の力に確信を持っていたからです。この映画は、その力を必要としていました。正解でした」とコメントを寄せている。
完成した本予告は、知人が道ばたで「由美香が死にました」と嗚咽(おえつ)を漏らしながらカメラに語りかけるシーンからスタート。その後、矢野の楽曲をBGMに、元気だったころの由美香さんの映像が流れる。映し出される豊かな表情からは、片ときも目が離せない。
「監督失格」は、9月3日から東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで独占先行公開。