BUMP OF CHICKEN「ドラえもん」談義でヒートアップ
2011年3月6日 11:00
[映画.com ニュース] ボーカルの藤原基央がとめどなく語り続ける――。音楽についてではなく、「ドラえもん」への熱い思いをだ。その手には「のび太と鉄人兵団」の単行本。20数年前に発表された人気作品を新たによみがえらせた「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 はばたけ天使たち」が3月5日に公開された。主題歌「友達の唄」を手掛けたのは、メンバー全員がドラえもんのファンという「BUMP OF CHICKEN」。“愛してやまない”という表現が決して大げさではないメンバーが、思い入れたっぷりに語った。
単行本を手繰りながら「主題歌の話を聞いて、最初に浮かんだのがこのシーン」と藤原が示したのが、ロボットの星メカトピアから地球人を支配するために送りこまれた少女・リルルが廃墟の中、地下鉄の入り口でたたずみ、のび太に発見される場面。「きっとのび太ってそういう係なんですよね(笑)。彼女は祖国を裏切るか否かという岐路に立たされていて、のび太に見つけてもらってすごくうれしそうに笑っている。こういう笑顔を僕も、のび太にもらったことがあるような気がして。曲を書きながら、のび太のことをずっと考えていましたね」と語る。
メンバーが考える「ドラえもん」の魅力、それは恐怖とSFの枠を超えた“ぶっ飛んだ”設定だという。過去の映画作品やエピソードで印象深いものについて、「のび太とパラレル西遊記」を挙げたのはギターの増川弘明。「パパとママが、見た目はそのままなんだけど、影が鬼の形になっているシーンが忘れられない。世界が変わったことに気づいているのがのび太たちだけ、ということがものすごく怖い」。ドラムの升秀夫もうなずき、「『のび太の魔界大冒険』も世界が全然違うものに変わる。しかも魔王の心臓が、実は体の外に星として存在するとか設定が突き抜けているんです」。
藤原は、あえて大長編ではなく通常エピソードから「無人島に家出」(単行本14巻に収録)に1票。のび太が無人島で帰る手段を失い、そのまま10年が過ぎてしまう話だ。「のび太はヒゲだらけの姿になって、10年前に『こんなの役に立たない!』と捨てた秘密道具を見て昔を懐かしむんだけど、それが実は発信機でドラえもんが助けに来てくれるんです。タイムふろしきとタイムマシンで元に戻るってオチだったと思うんですけど、『無人島で10年ってどんなものなのか?』と考えだしたら、怖くて眠れなくなった」と明かす。
ベースの直井由文は、「『のび太と竜の騎士』では地底に部屋をつくってジャイアンが思い切り歌うけど、あれはいまの僕らが一番ほしいもの」と笑う。ちなみに直井は、自室に無数のプラモデルや楽器とゲーム機などがあり、部屋を訪れたメンバーに「お前の部屋、スネ夫の部屋みたいだな」と言われたことが幾度となくあるそうだ。「でも、BUMP全体で見ると、僕らはのび太なんです。映画の方じゃなくてふだんの、ダメなのび太(笑)」とメンバー全員が口をそろえる。
メンバーのドラえもん談義に終わりはない。「うまく説明できないけど」と繰り返しながら、最後まで熱く語る藤原をはじめ、これだけの深い思いを込めて歌い上げられる主題歌をエンドロールにもつ映画は幸せだ。
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