山田孝之と片瀬那奈が多重債務者を地獄へ追い詰める「闇金ウシジマくん」
2010年10月8日 15:20
[映画.com ニュース] 「10日で利息5割」という法定外の金利を掲げる闇金融業者と、そこへ駆け込む多重債務者たちの姿を描く新ドラマ「闇金ウシジマくん」が、間もなくスタートする。約4年ぶりのドラマ主演となった山田孝之、共演の片瀬那奈に話を聞いた。
原作は2004年から「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載され、これまでに累計販売部数250万部を超える真鍋昌平の同名人気コミック。山田は、「頭めがけて金属バットをフルスイングできる別世界の人間」という伝説を持つ闇金「カウカウ・ファイナンス」の経営者・丑嶋(ウシジマ)役、片瀬は元AV女優で丑嶋のもとで働く新入社員・千秋というドラマオリジナルの役を演じている。
「原作を読んだときは、かなり攻めているなと思いましたね。社会の底辺と呼ばれるところで生きている人たちの様子が詳細に描かれているし、ダークな表現も多い。綿密に調べて作られている作品という印象を受けました」(山田)、「ドラマ化のお話をうかがう前から読んでいたのですが、なにしろ女性の描き方が強烈だし、猟奇的なんですよ。一体これをどうTVで放送するんだろうと思いました」(片瀬)
丑嶋のもとに集まってくるのは、夢だけを求めて現実から目をそらす漫画家志望のフリーター、見栄を張り借金を重ね続けるOL、パチンコ依存症の主婦といった、自ら首を絞めている人々。丑嶋は、情に流されることなく彼らを徹底的に追い詰める。
「丑嶋は、本能のままに生きている動物みたいな男。金に執着しているという点で、行動が一貫していますね。金の重みを紙切れのようにしか理解していない債務者たちに対して、丑嶋はその価値や怖さをよく理解していると思います。丑嶋が千秋に対して話すセリフには、彼の持論が多く含まれているんですけど、『世の中すべて奪い合いだ』という言葉は強い者が弱い者から搾取する今の社会をよく表していますよね」(山田)、「お金を借りに来るのは、ほんとにごく身近にいるような人たちなんですよ。みんなそれぞれに事情があるのですが、安易に闇金の世界に足を踏み入れるのはとても怖いですね。もしも自分がお金に困ったとしても、闇金だけは絶対にイヤです」(片瀬)
フジテレビ「ナニワ金融道」シリーズ、「カバチタレ!」といった社会派ドラマを数多く手がけた山口雅俊プロデューサーが、映像化に尽力した意欲作。「人間の醜い部分を通して、お金の価値やありがたさが分かると思います。しっかり自分の足で歩くことの大切さを実感してほしいです」(片瀬)、「拳銃よりも札束の方が怖いし、人生を狂わすと思うんですよ。このドラマをきっかけに、金との距離の取り方というものを考えてほしいですね。近すぎると丑嶋のように金しか見えなくなるし、遠すぎるとその価値が分からずドラマの債務者のようになる。この作品が、金の持つ意味というものをリアルに感じるきっかけになればと思います」(山田)
「闇金ウシジマくん」はTBSで10月12日深夜24時55分から、MBSで14日深夜24時55分から放送開始。