仏監督「俺たちは勝った!」 知られざるキンシャサの奇跡を語る
2010年9月10日 17:18

[映画.com ニュース] コンゴ・キンシャサの路上で生きる身障者たちが結成したバンド「スタッフ・ベンダ・ビリリ」の奇跡をたどる音楽ドキュメンタリー「ベンダ・ビリリ! もう一つのキンシャサの奇跡」。共同でメガホンをとったルノー・バレとフローラン・ドラテュライ両監督が来日し、インタビューに応じた。
「2004年に2人でキンシャサに行ったとき、偶然レストランの前で物乞いをしながら手作りの楽器で演奏する『スタッフ・ベンダ・ビリリ』に出会ったんだ。彼らの音楽と人間性に非常に大きな衝撃を受けて、『彼らのアルバムを作らなければ』とまるで使命のように感じた。彼らのような厳しい生活では、年齢に関わらずいつ死が訪れてもおかしくない。いつ彼らの素晴らしい音楽が失われてしまうかわからない。まさかこんなに時間がかかるとは思わなかった」とルノー監督は振り返る。
その突出した音楽性のみならず、メンバーの底抜けに明るい人間性が2人を強くひきつけた。なかでもリーダーのリッキーは、スラムを代表するような力強い存在だ。
「元気でいることはもはや彼らの習慣なんだ。リッキーは骨折したまま何日間もステージをこなしたり、実の子どもを埋葬したあとにリハーサルに参加したり、『人生はそういうもんだ』と達観している。弱いものは死んでしまう弱肉強食の世界で、強靭な精神力で生き残ってきたサバイバーだ」とフローラン監督は敬意を表す。ルノー監督も「重い障害をもつ彼らだけど、いつもご機嫌でエネルギーにあふれている。それは、そうでもしなければ厳しい現実を生き抜けないからなんだ。何ももっていないからこそ彼らは強い。僕たちにとってのヒーローだよ」と憧れの眼差しを向けた。
そんなリッキーがバンドに迎え入れたストリートチルドレンのロジェは、そこで類まれなる音楽の才能を開花させる。
「ロジェはいつ非行に走ってもおかしくない環境にいた。ビリリに出会っていなかったら、グレていたと思う。彼はいつも『この楽器のおかげで僕は人生と尊敬を得た』」と、誇らしくサトンゲ(1弦ギター)を持っていた」とルノー監督は明かす。
本作は第63回カンヌ国際映画祭監督週間のオープニングを飾り、スタンディング・オベーションと大歓声に包まれた。アルバムは世界中で発売され、ついにはヨーロッパ・ツアーが実現するが、そこまでの道のりは遠く険しいものだった。
「ステージが終わった後、皆で抱き合ってワァワァと泣きあったよ。『俺たちは勝ったんだ!』って」と2人は達成感をかみしめていた。
「ベンダ・ビリリ! もう一つのキンシャサの奇跡」は、9月11日より公開。
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