中国では全く別ものになった「殺人犯」 監督が明かす製作秘話
2010年6月4日 16:15
同作は、担当中の殺人事件の状況証拠から、自分が犯人ではないかと疑い、精神に異常をきたしていく刑事レン(クォック)の姿を描き、その衝撃的なエンディングが物議を醸した作品だ。そのアイデアは、チョウ監督が2004年に読んだある新聞記事から得たもので、「その内容が映画のテーマとして展開していけると思いました」
その後、すぐに脚本家と話し合い、映画化を急いだ。そうしなければ、ハリウッドに先を越されるだろうと懸念したからだ。結果、ハリウッドでも似たテーマのホラー映画がほぼ同時期に製作されたが、香港ではタッチの差で先に公開にこぎつけた。チョウ監督は、「僕らのほうが先だったけれど、一部の情報が漏れていたかもしれないね(笑)」と笑ってみせる。
猟奇的な描写や衝撃的展開に、中国本土ではラストが差し替えられた。暴力描写を全てカットした結果、想定したストーリーが成り立たなくなってしまい「全く別の映画になってしまいました(笑)。でも、仕方のないこと。中国には18歳未満には見せないという制度がない。万人向けにする必要がありました。中国ばかりを気にしていたら映画は撮れないので、今回も最初思いのまま作って、完成してから中国のことを考えましたけどね(笑)」。しかし、編集を加えたことに特に不満はなく、むしろ今後の中国の開放的なマーケットに期待を寄せている。「中国はハイスピードで変わっています。タブーがなくなり、自由になっている。数年以内には確実に素晴らしい市場になります」
この流れに乗り、香港映画界もかつての活況を取り戻せるのだろうか。チョウ監督は、「数年前に比べて中国との合作が増えています。ただ、ありがたい反面、激しい競争にさらされることにもなります。そもそも中国には豊富な資金と人材があります。そんな巨大な市場に参入して、どう勝ち残れるのか」と香港映画界の新たな課題を憂う。そして、「香港映画界は足元をしっかり見つめ、いいものをオリジナルで作らないといけない」と決意を新たにしていた。
「殺人犯」はツイン配給で6月5日より全国で公開。
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