ムッソリーニ演説のiPhoneアプリに抗議殺到
2010年2月5日 11:32
[映画.com ニュース] ベニート・ムッソリーニ元伊首相の演説をフィーチャーしたiPhoneのアプリケーションが、イタリアで物議をかもしている。
ムッソリーニの熱のこもった100に及ぶ演説の音声、動画、テキストを提供するアップルのiPhoneアプリ「アイ・ムッソリーニ」 は、イタリアのiTunesストアにて約199円で販売され、瞬く間にベストセラーに。これに対して、ホロコーストの生存者たちから激しい抗議が殺到しているのだ。ファシスト党党首でもあったムッソリーニは、1922年に首相に就任し、ナチスドイツと同盟を結んで38年には反ユダヤ法を導入した。
「アイ・ムッソリーニ」を作成し、iTunesと組んで1月21日に市場に送り出した25歳のナポリ出身プログラマー、ルイジ・マリーノによれば、同アプリは先週末、1日に約1000回ダウンロードされたという。
マリーノは、「このアプリは、決してファシズムを称えるものではない」と強調。伊アップルも、「政治的アイテムではない」とコメントしているが、抗議活動はイタリア国内に留まらず、1月31日には、ニューヨーク拠点の米ホロコースト生存者集会とその子孫の団体が、「『アイ・ムッソリーニ』は恥辱であり、あくどい商業主義への降伏だ」とアップルを激しく非難している。
伊ラ・レプブリカ紙は、同アプリのヒットを「驚愕の現象」と見出しをつけ、「購入者は、ファシズムの時代を懐かしむ老人でもなければ、歴史学者でもない。インターネットに時間とお金を費やし、情報を得る若者たちだ」と指摘している。
アップルが同アプリの販売をやめないことを確認したというマリーノは、現在、新製品iPad用の「アイ・ムッソリーニ」を開発中だという。