「ヴィヨンの妻」根岸吉太郎監督、凱旋会見で安堵の表情
2009年9月10日 12:00

[映画.com ニュース] 第33回モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門で最優秀監督賞を受賞した「ヴィヨンの妻/桜桃とタンポポ」の根岸吉太郎監督が9月9日、主演の浅野忠信、松たか子とともに都内で凱旋会見に臨んだ。
生誕100年を迎える太宰治が、自殺直前に発表した短編小説が原作の「ヴィヨンの妻」。放蕩の限りを尽くし破滅的な生活をおくる小説家の夫と、気丈なまでに夫を理解して許し続ける妻の純愛が描かれている。
根岸監督は、「何本かのコンペ作品を見たが非常に水準が高く、こうして賞をもらえてラッキーだった。東京の片隅で暮らす夫婦の話が、カナダで評価されたのは普遍的なテーマだったからかな」と安堵の表情。現地では3回上映されたそうで、「予想よりも、ずっとビビッドな反応だった。松さんの演じた妻に対して、多くの女性が共感してくれたみたいで『よく分かる』と語りかけてくれた」と振り返った。
発表の瞬間に立ち会った浅野は、「とても感動的だった。フランスなまりの発音で監督の名前が呼ばれたときは、とても舞い上がってしまいました」と終始ご機嫌だ。日本で“留守番”をしていた松は、「指をくわえて待っていました。いろいろな方から反響の声をいただいて、じわじわと実感を持てるようになりました」と笑顔をのぞかせた。
授賞式で「メルシー、ボク」を連発した根岸監督は、「3回繰り返しながら、その後に何を言おうか考えていた」と真相を暴露。それでも、「国内で封切られていない作品ですから、この受賞をきっかけに太宰の世界を皆さんに劇場で楽しんでもらいたい」とアピールを忘れなかった。
「ヴィヨンの妻/桜桃とタンポポ」は、10月10日から全国で公開。
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